夏ホラーレビュー 氷砂那「『殺人伽祭』」 着物にナイフ、血しぶきは花となり。 読む 色彩豊かな文章と言うものは多いが、色彩が明確になり主義主張をしている文章と言うものは少ない。この作品は色彩の確固たる意思を感じる数少ない小説のひとつだ。 冒頭で事件を起こし、一気に物語に惹きこんでから、「色を魅せる」。そのためのアイテムも着物、ナイフという組み合わせを使い、より色の想像しやすい形をしている。 小説と言うものは結局のところ読むものではなく、脳味噌の中で目撃してしまうものかもしれない。言語がある目的をもって、無意識の視覚世界に訴えかけるのだ。 この小説はとても美しい色合いをしている。 [*前へ][次へ#] [戻る] |