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夏ホラーレビュー
マグロ頭「火車」
ちょっとだけ、怖い話。
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 この小説は、ちょっと異色だ。ホラーだが、ほのぼのしている。
 田舎の原風景、寂しくなってしまうほどの現実的な人々は、自分がとても小さくなってしまったような郷愁を誘う。愛おしく不愉快ではないのに、とても身につまされて、気付けば救いようは無く、ただこの世のあるべきことが転がっている。それが何故かたまらなく暖かい。
 主人公は親戚の子供たちに祖母が亡くなるときの思い出を語る。そこには祖母との柔らかな生活と、思い出になってしまったと言う過去がある。
 取り戻せない、失われたものへの敬意が滲んだ物語は、そっと包み込んで涙を導く。そのくせふいに突き飛ばされ、怖くなる。だけどちゃんと迎えに来てくれる。
 ホラーなのに無条件の優しさを感じる、不思議な作品だ。

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あきゅろす。
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