夏ホラーレビュー
蓬莱雪也「たずねてくるもの」
人はそれを、拒むことが出来ない。
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ノックの音や電話の着信音。それに瞬時に対応することが苦手な人は少なくないと思う。
何故か。
答えは簡単だ。そこには何者か予測しにくいという不鮮明さがある。そして不鮮明なものに対してその正体を判断して的確に対応しなければならないという鮮明さがある。不鮮明に対し鮮明でなければならないと言うアンフェアは不気味だ。
もし、もしその不鮮明なものが自身のものさしを凌駕するものだったら? ……アンフェアは不気味どころではすまない。
学校の研修旅行。泊まる施設は何かがいるという噂の場所だった。宿泊から三日目、真夜中に主人公たちが休む部屋にノックが響いた。
真夜中に一体誰がたずねてきたのか。
主人公はノックの音から誰かがたずねていたことを知る。奇妙だと感じながら、不鮮明なたずねびとを受け入れてしまう。そこから恐怖がやってくる。
だが、それから逃れる術はない。居留守をしたとして、それは時に始まりであるのだから。
拒む術は無い。
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