[携帯モード] [URL送信]

夏ホラーレビュー
美咲 菫「冥界パレード」
どこまでも、どこまでもこのパレードは続く

読む

 パレードと聞くと、なんだかわくわくするものだ。ぞろぞろと何かが移動してゆく。それは普段はみることの出来ないものだから。
 だが、本当に、本当にそうだろうか。考えてみると、自分たちがパレードをしていないという確証は無いのではないだろうか。
 そんな問いかけを、瑞々しい文章と共に捧ぐ、それが冥界パレードだ。

 親友のエリと主人公はいつも一緒にいる。ある日の朝、猫の死体を見つけた日から、どうもエリの様子がおかしいと思うのだが。

 人は自分を視点にして様々なことを考える。自分は一人だからパレードはしていないだろうという絶対的な自信を持つことがある。だが自分という視点は、パレードという大きく包括的な視点からみれば酷く矮小で頼りないのだ。
 本当にパレードをしていないのか。本当に自分は観客なのか。
 不気味な問いかけは、自分と言う根源さえ壊してしまう。それはとても怖く、空しい。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!