夏ホラーレビュー
choco「そしてまた怪談が生まれる」
何故ならそこに、彼女がいるから。
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怪談というものを、誰もが知っている。幼い頃からひそやかに、親しんでいくから。教室の端や、下校途中の路地や、なんとなく集まった公園のジャングルジムの上で、いつのまにか怪談を知ってしまう。自分たちはまるでそれを、自分たちの意思で語っているように思い込んでいる。だが、果たして本当にそうなのだろうか。この物語は怪談が生まれる場所の、面白い見解を見せてくれる。
主人公は幽霊で、夜ごと町を歩き、怪談話を聞きまわっている。彼女にはどうしても聞きたい、ある怪談があったのだ。彼女は怪談を、今日も探し歩く。
さて怪談の面白い見解とはなんなのか、彼女がお目当ての階段を耳にしたとき何が起こるのか。それは物語を読んでのお楽しみだ。
ひとつ私から言えることがあるとしたら、貴方がその可能性を知ったとき、貴方はきっと彼女の影を無意識に追うだろう。階段を楽しく話したあの記憶のすぐ傍に、彼女はいなかっただろうか、と。
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