SS by astra
抱っこ。 りんまり
交流☆わはーイラスレの【アナタの正義(ジャスティス)】イベントでアカサタさんが描かれたイラストにSSを付けさせて頂きました。霖之助視点。
「うわっ!」
突然足元に穴があき、一瞬の浮遊感の後、僕はしたたかに尻餅をついた。顔を上げると、数人の少女がこっちを見てにやにやしている。その中にスキマ妖怪の姿を見つけ、僕はスキマに落とされたのだと悟った。どうやらここは博麗神社みたいだ。
「何の用だい?突然スキマに落とすなんて。」
「魔理沙が酔っ払っちゃってね〜。霖之助さん、魔理沙を送って行ってくれない?」
僕の問いに答えたのは博麗の巫女だった。よく見ると霊夢の顔は赤い。彼女だけじゃなく他の少女たちも同様だ。
「わざわざ僕をスキマで連れて来なくても、魔理沙をスキマで送ればいいじゃないか。」
僕は当然の抗議をする。すると意外なところから意外な声が上がった。
「駄目なのか?香霖。」
魔理沙が泣きそうな顔でこっちを見ている。突然のことに答えられずにいると、魔理沙は霊夢に泣きすがった。
「どうしよう、霊夢。香霖が冷たい。私、私、どうしたらいい?」
霊夢は魔理沙の頭を撫でながら答える。
「大丈夫よ、魔理沙。霖之助さんはちゃんと送ってくれるわ。」
そして霊夢は僕の方に向き直り言う。
「ずーっとこんな調子なのよ。送っていってくれるわよね?」
拒否出来るような雰囲気ではない。僕はため息をついて魔理沙に声をかける。
「仕方ないな。ほら、魔理沙。帰るよ。」
そして僕はまともに立てそうにもない魔理沙を背負おうとする。すると。
「抱っこ。抱っこがいい。」
魔理沙がこちらに手を伸ばしながらそんなことを言ってくる。どうしたっていうんだ、今日の魔理沙は。いつもの男勝りがすっかりなりを潜めているじゃないか。
辺りを見回す。霊夢はにやにやしている。彼女だけじゃない。魔理沙を除いた全員がこっちを見てにやにやしている。一体これはどんな羞恥プレイなんだ?もう一度ため息をつくと、僕は魔理沙を抱きかかえた。
自分の顔が紅潮しているのが分かる。
これは羞恥心からくるものなのか、魔理沙の体温と匂いを感じているからなのか、僕は自分でも判断できなかった。
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