[携帯モード] [URL送信]

SS by astra
さんかく。 りんまり
交流☆わはーイラスレのイベント【三角関係】でアカサタさんが描かれたイラストにSSを付けさせて頂きました。



 魔理沙はずるい。

「香霖が好きなんだ。」

 ある日の博麗神社。例に漏れず少女たちが集い盃を片手に語り合う中、顔を真っ赤に染めながら魔理沙は言った。

 魔理沙はずるい。いつも素直で真っ直ぐで。

 魔理沙の告白を聞き、少女たちの顔が喜色に染まる。そして神社に歓声が響き渡った。いつの世も少女たちのいちばんの関心事は色恋沙汰だというが、それは魑魅魍魎の類でも変わらないらしい。

「明日香霖堂に行くんだが、何か、香霖の気を引くいい方法ってないかなぁ?あ、あくまでさりげなく、さりげなくだぜっ!」

 真っ赤な顔を帽子で隠しながら問いかける魔理沙は、同性の私から見ても愛らしい。

 魔理沙はずるい。可愛くて、皆に愛されていて。

「お菓子よ、お菓子。手作りのクッキーとかに男は弱いわ!」

 人形使いがアドバイスすれば、

「あの店いつも散らかってるから掃除でもしてあげたらいいんじゃないかしら?」

 メイドがアドバイスを出す。

「なあ、霊夢。お前はどう思う?」

 魔理沙はずるい。鈍くて。

 私が時々霖之助さんに料理を作って差し入れていることや、たまに見かねて掃除をしていることに気付いていない。鈍いのは霖之助さんも一緒なんだけど。

「知らないわよ。正面から当たって砕けちゃいなさいよ。骨くらいは拾ってあげるわよ?」



「霊夢には感謝してるぜ。うまくいったのはお前のお陰だからな!」

 霖之助さんと腕を組んでやって来た魔理沙が私に言う。
 うまくいくなんて思ってなかった。霖之助さんが私や魔理沙を子ども扱いしていることは分かっていたから。失敗するだろうと思ってのアドバイスだった。ところが、霖之助さんは今こうして魔理沙の横で照れたような表情をしている。

 魔理沙はずるい。いつも素直で真っ直ぐで。
 そんなに素直に感謝されたら、何も言えない。

 素直になれなかった私は、幸せそうに腕を組んで去っていく2人の背中を見送ることしか出来なかった。

本当に、魔理沙はずるい。


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!