5
切株にひじをついて、頬杖をつく形でとろとろとまどろんでいると、突然視界から光がなくなった。
驚いて目の前の光を遮るものを手でつかんだら、それは見覚えのあるピンク色の帽子だった。
「ちょっと寝なさいよ。時間になったら、嫌でも起きて仕事しなくちゃいけないんだし」
「僕たちが起こしてあげるから、少し休んだらどう?ライさん」
それは貸してあげるから、と帽子を手の中に押し込んで、リシェルは笑った。
……やっぱりこいつらの隣は、オレにとってこれ以上なく安眠できる場所らしい。
帽子を目線のところまで持ち上げて感謝の意を示し、オレはありがたく帽子をかぶった。
帽子は懐かしい、甘い香りがして、オレは吸い込まれるように、眠りに落ちた。
遠くで、
「今日は夜通し起きておしゃべりするんだからね!」
なんてとんでもないセリフが聞こえたのは、きっと夢に違いないんだろう。
そうだろう。
End.
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