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「ほら、その端の汚れ、全然落ちてないわよ」
「もう洗剤ないの?」
「すすぎの水が足りないぞ!」
服の端が濡れるのも、洗剤が飛んで顔につくのも、わいわい3人でやってると少しも気にならない。
でも太陽の下で一生懸命にシーツをゴシゴシこすってたら汗も出てくるもので。
日が高くならないうちに早く洗ってしまいたいからって、そのままの手で汗をぬぐうと、やっぱりと言うか何と言うか、泡が目に入る。
「¥#★℃※〒×〇!!」
「ちょっと考えれば想像がつくベタな失敗よね……」
とか言いながら、濡れタオルを渡してくれるリシェルはさすがと言うべきか。
「あんたは本当に変わらないわね」
「この場合、悪い意味で、か?」
「生涯学習すべし、よ。
ほら、早く干さないと今日中に乾かないでしょ!」
「ライさん!シーツを干すから手伝って!」
視力が回復しタオルから目線を上げたオレの視界に、それはそれはきれいな“白”が飛込んだ。
痛みも忘れてシーツにかけよると、ふわりとせっけんの匂いがする。
せーのでシーツを広げると、吹いた風にはためいて、視界を占める真っ白の割合は限りなく100%だ。
ばさ、ばさ
シーツが風をいっぱい吸い込んで、はためく。
あっという間に庭はシーツで埋め尽されて、シーツ同士がこすれる音は宿中に響いた。
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