弟俺
J
自分が兄ちゃんと別れて、変わってしまった事はなんとなく分かってた。
鏡を見れば、その風体から自分でも若干引いちゃったし、野球部の人もなんかよそよそしいし。
でも兄ちゃんがいつも通りだし、まぁいいかなって。
…思ってたんだけど。
捕手の習性なのか、暇が出来ればなんとなく周囲を見回してしまう俺は、何故かいつもあの人、日向さんの所で視線を廻らせるのを止めてしまう。
最初は、なんだかぼーっとして、覇気がなくて、なんでこの人がピッチャー?ていうか野球部?って思ったんだよな。
でもじっと見てれば、溜め息も多いし、肩もなんだか落ちてるようだし。
あぁ、何かに悩んでるのかって、すぐに気付いた。
なんとなく、それから日向さんが気になって。
気が付けば目で追うようになった。
見てれば、ホントにぼーっとしてるし、たまに思い詰めたような顔してるしで、いつか体調を崩すんじゃないかって気が気じゃない。
でも、いつも、俺が声をかけようか迷っている間に、キャプテンの(全然威厳ないけど)川原さんが、日向さんに声をかけて。
その時の日向さんの顔が、なんだか、ほっとしたような、気が緩んで思わず溢したみたいに、笑うから。
俺はなんだか胸の奥がモヤモヤして、気分が悪くなってしまう。
(だから俺は、ちょっとだけキャプテンが苦手だ)
でも、この前、初めて声をかけた。
キャプテンより先に、って、それだけの思いで。
そしたら
なんだか困ったような顔で笑いかけられて。
俺の顔を見たくないとでも言うように、顔を背けられた。
なんで
なんでなんでなんで。
俺が何かした?
俺が、知らないうちに迷惑かけたのか?
それともただ単に、生理的に受け付けないとか?
最後のは、生活的習慣から身に付いたものだ。改善するのは難しいかもしれないけど。
ただ、ただ。
もの凄く、腹が立った。
キャプテンとは、あんなに笑って話すくせに!
俺の何が気に入らないわけ!?
日向さんは、
(いつもいつも、言葉にしない!)
20091129
…え?
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