弟俺
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きっかけは、なんだっただろう。
きっと、そんな大したことはなかったはずだ。
ただ、漠然とした違和感が積もりに積もって、我慢出来ずに口にしてしまっていた。
「日向って、弟と付き合い始めても、あんまり前と変わんねぇよな?」
日向にそんなイメージを持っていなかった川原は、つい本人を目の前にしてそれを問いかけてしまった。
ちなみに、川原がイメージする日向とは、付き合い始めると何をすればいいのかテンパって川原に救いを求めるか、相談をするかのどちらかであった。
「そう…かな?」
川原の問いに曖昧に返す日向に、川原はついでとばかりに質問をした。
「つーか、2人の時はいつも何を話してんだよ?」
「一番はやっぱり野球の事かな…。俺も弟もあんまテレビとか観ないし…。結局はそこに話がいっちゃうかな」
「ふーん…。……で、下世話な質問していー?」
「……よくないけど。聞くだけなら聞くよ。答えないかもだけど」
人気のない廊下で、川原は周囲に人がいないか確認した上で、日向に身を寄せて小声で問いかけた。
「…実際、弟とはどこまでいってんの?」
20100312
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