片道切符
「死にそうだな」
「‥‥‥そうだね」
彼があたしに向けた言葉。
彼があたしに差出した片道切符。もう、戻れない。
ぐったりと横たわるあたしの横に彼は座る。
もう限界だと言わんばかり。
「どうする?」
「…ここで、いいよ」
もう、いいよ。
あたしここにいるから。
もう、いいよ。
「少し‥‥寝る…」
「うん、おやすみ」
おやすみ。
夜行列車の到着はまだ遠い。着いたら起こすから。
それまであたしは、ちゃんとここにいるから。
片道切符握締めて、霞む景色と貴方を抱き締めた。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!