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あなたと私





黒板から見て、私はあなたから左斜め後ろの席だったりします。
あなたは右隣りの友達の席に机を寄せてるから、少し距離は離れていたり。

ちょっと、
いや、かなりショックだったり‥‥‥実は安心していたり。


授業中に窓の外を見ているフりをして、あなたを見ている事がバレない絶妙な距離。
近過ぎてもバレてしまうし、妙に恥ずかしいから。

この距離が一番、いいのかもしれないと安心していたり。




あぁ、でもそれって
結構意気地無しだよね?

ただあなたを眺めるだけの消極的な私。
あなたを思ってるフりしてるだけなのかな、弱々しい恋愛論。





コロコロ‥‥‥

軽快な音を立て足下に転がってきた青いシャーペン。
それは、間違える筈も無いあなたが何時も愛用してる青いシャーペン。

ボーッと足下の横に転がっているシャーペンを見ていると、右斜め前から声を掛けられる。
同時に私の心臓が破裂したのではないかと思う程の衝撃が身体中に響いた。



「わっりぃ‥それ俺のなんだ」



授業中だと言うのにやたらと五月蠅い教室は、私の為に言葉を紡ぐあなたの声をかき消してしまいそうだ。
それとも、私の身体中の高鳴りが耳を塞いでしまっているからだろうか。



「あっ‥、はい…」

「サンキュー」



意気地無しの私。
あなた絡みだと何をするにも怖くて、普通に拾って普通に返して‥‥‥

馬鹿な私。

それでも、お礼を言ってくれたあなたの言葉と笑顔が痛い程頭に残るの。



「あ、そーいえばさ」

「っ!」



吃驚した。ホントに。
前を向いてしまったあなたに俯いた時だったから。
ちゃんと声も出なかった。



「このシャーペンと色違いの持ってなかった?」

「え、あ‥‥黄色のなら」



学校の近くの本屋にあなたの青いシャーペンが売っていて、流石にお揃いを買う勇気はでなかったから。
色違いの黄色いシャーペンを買ったんだけど…いざとなったら使うに使えなくて、今は筆箱の中で眠ってるシャーペン。

ほんの数回しか使った事なかったから、私は驚きながら筆箱の中から黄色いシャーペンを取り出した。



「それってさ、大切だったりする?あまり使ってないだろ」

「ううん、いつもは違うの使ってるから…予備用かな」

「じゃあさ!交換して貰えないかな?!青に飽きちゃってさー」



シャーペン買う余裕もない程金欠だって、苦笑いを浮かべるあなた。
こんな事があっていいのでしょうか‥‥‥急な展開に頭が追いつけていない。



「もしかしなくても嫌だったりする‥?オンボロだしー‥‥‥」

「ぜ‥全然大丈夫だよ!あまり使わないからさ!」

「太っ腹!ありがとーこのシャーペン使いやすいんだ」



ああ‥‥‥
こんな事があって、ホントにホントにいいのでしょうか。



「お礼に数学の課題見せてやるよ‥って、すでに終わってたりする?」



笑いが、自然に零れた。
あなたと私の距離が、縮まった気がした。

結局私は何もしてないも同然だけど、チャンスだよ。



意気地無しな私。
もう少し、縮めてみよう。



「問2を‥教えて貰ってもいいかな?」













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