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ここにいてもいいですか?





「入ってもいい?」

「‥‥‥駄目」



先からこれの繰り返し。御願い、いい加減諦めてよ。



「熱あるんでしょ?」

「熱があるから」



焦れったい。
彼女の優しさが痛い程焦燥感を駆り立てる。



「御願いだからさ、開けて」

「絶対駄目」

「いい加減にしろよっ!開けろって!」



扉に向かって叫んで、優しさが空回り。
病人に大声で怒鳴るなんて、優しさの微塵も無い気がするけど。



「っ…ごめん‥‥‥御願い‥開けてください」

「‥‥‥意味分かんない」



彼女の声が聞こえ、ガチャリと鍵の開く音が扉に響く。
少し開いた扉から覗く彼女の顔を見て、いつもより火照った彼女の身体を抱き締める。



「だから嫌だったの‥‥‥絶対に移るんだから」



大人びた彼女の優しさ、気のきいた配慮だとか。
まだまだ俺の子供には、少し苦しいんだ。



「隣にいたい」

「あたしの隣?」



抱き締め返すように俺の背中に回された彼女の手、温もり。
少し意地悪そうに彼女は問う。



「それとも他の子の隣?」

「‥‥‥ここだけだし」

「本当かな、心配だよ」



そんな切ない事言わないで。
熱を含んだその声色が震えてるようにも感じる。



どうしたら伝わるかな。

少し離れただけでこんなに彼女を求めて身体が軋むのに。
彼女の隣じゃない何処かなんて、考えもつかないのに。



「イヤ?俺が隣に居るの」

「…あたしこそ、ここにいてもいいの?」



互いに控目な言葉。
それでも、自分の中の確信はあるんだ。



ここにいて、だから
ここにいてもいいですか?













あきゅろす。
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