細い糸
ぷつりと、呆気なく杜絶え。
どうやらあたしは手蔓を無くしてしまった様だ。
あたしは貴方が嫌い。
あたしを根こそぎ奪っておきながら、ふと気付けば姿を眩ます。
骨抜のあたしは独りじゃ立ち上がれなくて、車に引かれそうな状況で貴方は隣に帰って来る。
ユラユラ揺れるギリギリの、切れそうで切れない貴方との糸。
一層断ち切ってしまえば良いのかもしれないけれど、あたしは独りじゃ何も出来ないから。
あたしは貴方が嫌い。
だから、間違えただけだよ。
鋏を持った手が、涙で歪んで震えてたのが分からなかった。
あたしは貴方が嫌い。
こんな細い糸、任せた貴方が悪いのよ。
とことん不器用なあたしが、綺麗に結び繋げる事が出来ない事も知ってるくせに。
嫌い。
貴方が嫌い。
だから、帰ってきて。
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