蝶になってひらひらと
君が迷わず飛べるよう、あたしは一際目立つ綺麗な花になるわ。
まだ暗闇に眠る君に呪文の様に囁くの。
「眠いの?」
「ちょっと…」
瞼を閉じた君の頭を撫でて、あたしは君に微笑みかける。
大丈夫だよ、此所は安心だよと暗示をかけるように。
そうでもしないと君の羽は自由に羽ばたいてしまうから。
本当に怖いのはあたし。
君が迷わず飛べる様になった時、あたしのもとに帰って着てくれるのか。
怯えているのはあたし。
「ずっと此所にいてね」
「いるよ、大丈夫だから」
少しお休み。
握り締めた手を胸に引き寄せて、あたしは君に誓うよ。
眠りから覚めた時には、君だけの花になろうと。
愛しい蝶よ
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