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Madness

















彼女は笑う





妖しく

怪しく

























空は夕暮れ



カーテンから洩れる淡い光が、白い肌を照らす










寝そべる彼女のか細い吐息

瞼を伏せて、長い睫は白い頬に影を落とす





真紅の紅を纏う
ふっくらとした唇に、

小さく上下する胸





誘われる様に細く白い首に手を添えると

彼女は口の端をつり上げて、妖しく笑う。









「殺してみる?」





そう囁かれた甘い声



俺の身体を支配した様に酔わされた感覚








少し指に力を入れれば
彼女は短く嘆く




















「地獄より先を知ってる?」





突如彼女は囁いた





瞼は伏せたまま

彼女が一体何を考えているのか俺には分からない









「わかんねぇよ」



「なら…あたしを殺したら分かるんじゃないの?」














あぁ

やっぱり俺には分からない













「そんなに死にたいの?」





俺は力を入れていた指を離して、彼女に問う



こんな意気地無しに愛しい君を殺せるはずがないのを

君が一番、
分かってるんじゃないのか








「貴方に殺されるなら本望よ」





優しい声に
優しい微笑





「下らないあたし…命なんて捨ててしまえば良い」






悲しい声に
悲しい微笑
















彼女が何を考えているのかなど分かる余地も無いけど



せめて、彼女が望むものを

捧げたい



















「俺が君の命を捨てて…拾ってあげる」





そしたら、
愛しい君は俺のモノ





「いいんじゃない…?あたしの命も喜ぶよ…」










そう、囁いた
彼女の声は掠れてた











白い頬に涙が落ちる















妖しく
怪しい

笑う彼女の果てに





狂気あり。











あきゅろす。
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