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TiE











駆け出した教室の後、
俺の名前を誰かが呼んだ



それが誰だったかは、顔を見る事は出来なかったけど

その声を忘れる事はなかったから、御陰で誰だかすぐ分かった










「待って…っ」



俺を必死に引き止める、

君の華奢な声が潰れそうな程叫ぶその口を閉ざして






手を引くんだ




「一緒に行こう」


と。















膝を抱えた俯いた君は、
何時も驚く程活溌だから



誰も知らないでしょ。
そんな泣きそうな声

誰も気が付かないでしょ。
そんな寂しそうな声












「また泣いてる」


「泣いてなんかない」


「寂しかったんでしょ」


「寂しくなんかない」





意地悪な俺の素直な問いに

君は何時も単純に掛かってくれてしまうから








「おいで」



って両腕を差し出して、抱き締めてやるんだ










必死に俺を追い掛ける



そんな君、嫌いじゃないから

好きになったよ、なんて目茶苦茶だから





まだ、少し黙ってる。
君の声を聞きながら










教室を抜け出す時は
君の手を引いて。



声を張り上げなくてもすむように。










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