竜ノ誓約者
プロローグ
広い大地と空と海がある、世界。
巨大な白竜の命の灯火は、消えようとしていた。
世界には自分しか居ない。自分が死ねば世界が壊れてしまう。そう思った竜は、残された力を振り絞って自分より儚くて小さい存在を──祈る時に瞳から零れた涙から“ヒト”を生み出した。
ヒトが多く生まれて来たのを見て白竜はヒトの繁栄と世界の平和、そして自分の代わりにヒトを見守る者が現れるのを願いながら
白竜は──静かに死んでいった。
そして白竜の願いは天に届いたのか、それからまもなく白竜の亡骸から多くの様々な“竜”──白竜に比べれば小さいがヒトから見れば大きな体を持った──が生まれ、ヒトの行く末を見守るようになる。
世界の平和は、保たれた。
しばらくの間は。
──(吟遊詩人が語る御伽噺より)
古代の世界では、“竜”は神と崇められ、人々は無限な知識や力を持つ竜達に導かれながら共に生きていた。
しかし、それは変わってしまった。
長きに渡った平和が終わり、人々と竜達の間で争いが起きてしまったのだ。
しかし何がきっかけなのか、人々と竜達の戦いで竜達がどうなったのか、人々がどうなったのかは誰も分からない。
ただ言える事は、
──後々竜は、世界に姿を現す事は無かったという。
これは…──それから永い時が流れた世界で、関わってはいけない事に関わってしまった双子の物語。
残酷な運命に立ち向かいながら生きてきた、そんな物語。
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