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Novel
気になるあいつ。グリside
二人が恋する前の話。グリサイド。

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腕を奪われた。


今の自分はどれほど無様だろう。
血をダラダラと流しながら、長い廊下を進む。
もう痛みなんかより、苛立ちが先走っていた。
だからそんなに痛くない。


の、だが。


自分のこんな姿を、見られたくない。
そんな変なプライドが一番俺の頭の中を支配していた。


(...誰も、誰も現れてくれるなよ...)


そしてそんな時に決まって現れるのg「グリムジョー」
「っうああああっ!!!?」


そう、この翡翠だ。
何故か知らんが、いつも会いたくないときにハチあわせするこいつ。
...ウルキオラ。


「...。」


ウルキオラは何も言わずに、じっと俺の腕を見ている。


「...ンだよ。」


ちくしょー...なんでよりによってこいつが...
一番会いたくねえ奴に会っちまったな...
そう思ったあとふと気づく。


ん...?なんで俺、こいつに会いたくなかったんだろ...?
...カッコ悪い姿を、見せたくなかった...?
いやいや、そんな訳ねえな。


一人で首を振っていたら、既にウルキオラは俺の横を通りすぎてて...
「あ、おい...」


そのときに一瞬だけ、
甘い林檎ような、若葉のような、
だけどなぜだか切なくなるような、


懐かしいような香りが。


グリムジョーの鼻をくすぶった。


「...。」


しばらくその余韻に浸ってしまうほど。
その香りはグリムジョーが好きな香りだった。


何かが、始まった。
いや、もう既にずっと前から始まっていたのかもしれなかった。



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