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Novel
キス争奪戦/444キリリク


第6宮は、むさ苦しい青年達で賑やかだった。

主である藍染が、
ウルキオラの作ったバケツプリンで未だ下痢で苦しんでいるため(小説『作ったもの』参照)、
虚夜宮は休止状態にあった。
皆好き勝手に遊んでいる訳だ。



十刃のニートと呼ばれるグリムジョーの部屋には、
従属官であるロイ、イールフォルト、そしてノイトラが集まっていた。

完全に不良のたまり場である。



「いいな〜こういうの。もうしばらく藍染様下痢ってくれねぇかなぁ」

「ロイ、なんてこと言ってる」

「俺はむさ苦しい男どもが部屋に入り浸ってうんざりなんだけどな」


そんな話になったとき。



「じゃあウルキオラ呼ぼうぜ!あいつがいるだけで空気もちっとは潤うだろ」

「あー“うる”キオラだけに?」


グリムジョーの恋人、ウルキオラを呼ぼうという方向に話が進んだ。



「じゃあ俺が呼んで来る!」

ロイがさっそく立ち上がったところ。






「な…なぁ、ほんとに…呼ぶ、のか?」


珍しくか細い声で俯きながら、
グリムジョーは言った。


「え?なんか不都合あった?」

振り返ったロイが焦りながら問う。



「もしかしてケンカ中だった?」

「違う…今髪セットしてねぇし…
なんていうか……恥ずかしいし」





………………はい?




「…え?恥ずかしい…?」

「う、うるせぇ繰り返すな!
恋人だったらそりゃ…恥ずかしいだろうが」

顔を真っ赤にして俯くグリムジョー。



「…グリムジョーって、
まだウルキオラに対してそんな初々しい感情を抱いてるんだね…」


口をぱかーんと開けたままのノイトラ、イール。


「清いね」

「清い」

「うるせぇっ!俺はてめぇ等みてぇに心が汚れてねぇんだよ!」

「グリムジョーって変な所でピュアっていうか…こんだけ長い間付き合っててさあ」




グリムジョーの意外な素顔を知れたところで。



「じゃあ呼んで来るよー。
……グリムジョー心の準備いい?」

「…っ馬鹿にすんなっ!」


ロイがウルキオラを呼びに行った。






「ウルキオラー!」


一人廊下を歩いているウルキオラの背中にロイは声をかけた。



「クロワッサンか…何か用か?」

「誰がクロワッサンだよ!?
仮面馬鹿にしやがってぇ!ウルキオラこそウサ耳のくせに!」

「それで...用件は何だ、ロイ」

「ぁ、ああ...(ほんとマイペースだよな;)今暇ならさ、
俺達と菓子でも食わない?」



本題を告げた所で、ウルキオラは露骨に嫌そうな顔をした。
それだけでビビるロイ。


「何故俺がお前等の遊びに付き合わなければならない...
俺はそんなに暇じゃないんだ」


「...グリムジョーもいるよ?」


ロイがグリムジョーの名を口にした瞬間、
興味無さげだったウルキオラの目がまぁるくなって、
頬にさっと赤みが増した。




「......行ってやらんでもない、かもしれない」

「来るの?」

「い、行く」


ほんと純だなぁこいつら、と思いながら、
ロイは溜息をついた。






「おまたせー。連れてきたよー」

「おー奥方様登場だぜ」

グリムジョーの部屋に到着したロイとウルキオラ。

ウルキオラはグリムジョーと目を合わせるなりちょっとだけはにかんだ。


「さあ座って座って」

さも自分の部屋かのようにロイはグリムジョーの隣の席を勧め、
自分もさっきまでいた席に座った。



イールとノイトラ、グリムジョーは、
トランプをしていたようだ。


「おぉ、ちょうどいいからよ、
勝った奴がウルキオラにいいことしてもらうってのはどうだ?」

唐突に、ノイトラがそんな事を言い出した。
焦るグリムジョーとウルキオラ。

「いいんじゃないか?」

「さんせーい」

イールとロイはあろうことか賛成している。



「ちょ、ちょっと待てよっ!いいことって!」

「文句あんならお前が勝てばいいだけの話じゃねーか」

「くっ...!」



「やっぱり来なければ良かった...」

心底後悔したように愚痴るウルキオラ。


グリムジョーは拳をぎゅっと握り締め...
愛するウルキオラを護るために勝利を決意したのだった...




が。






「俺の勝ちー。何してもらおっかな」

「ち...ちくしょう...!」


勝ったのはノイトラ。

ロイは、
「じゃあウルキオラ、ノイトラにほっぺチューねー」
なんて聞き捨てならんことを言った。


「ふふふざけんなっ!ウルキオラが可哀相じゃねーかっ!
てかオメーみてえな汚ねぇ奴にキスなんかさせてたまるかぁぁあああ!!」

「問答無用ー。イール、グリムジョー押さえてて」

「どぁあああふざけんなぁあああ」


羽交い絞めになったグリムジョー。
ピンチが迫るウルキオラ。


「頬にだから別になんともねぇよ。ほらちゅっと」

「〜〜〜〜!!」

「うわぁあああうるきおらぁああああ!!」


そしてウルキオラは半ば無理矢理、
ノイトラにほっぺチューをさせられたのだった。

ウルキオラはチューすると飛びのけるようにノイトラから離れ...
グリムジョーの背中に隠れてしまった...

怒りに打ち震えるグリムジョー。


「はははは。愉快 愉快」

「ののノイトラてめぇええ」

グリムジョーの背中にぴったりと顔をくっつけるウルキオラ。
そんな場合じゃないのにグリムジョーはやっぱりときめいていた。




そして激戦の末。



「ぅおっしゃああやっと勝ったぜ!!!(半泣」

「よかったねー。」

20会戦のババヌキでグリムジョーが勝利を修めた。


「じゃあウルキオラ、グリムジョーにほっぺチューね」


ウルキオラは少しもためらわずにグリムジョーのほっぺにちゅっとキス。
普通人前でキスなどしないウルキオラだが、
今日はさんざん他人にキスさせられたためか羞恥心が抜け落ちたらしい。

グリムジョーは小学生のような可愛らしいキスに頬を染める。



「あれ?ウルキオラ、そんなご褒美はナシだって」

「うるさい...疲れた」


ウルキオラは炬燵の中にもそもそと入り込み、
グリムジョーの膝の上にちん、と落ち着いた。

グリムジョーの胸に背中を預け、ふうと息をつく。

「ウル...」

グリムジョーはウルキオラの頭をよしよしと撫でて、髪にキス。



「二人の世界作るなっての」

「まあいいじゃん。ウルキオラにはかなり可哀相なことさせたし」




それから21会戦目では「大富豪」でまたもグリムジョーが勝利したのだが...






「ウルキオラ寝ちゃったね」


ウルキオラの体はいつの間にかずり下がり、
今はグリムジョーの膝を枕にしてぐっすりだった。


「疲れたのかな?」

「静かにしろよっ」


「ん...ぅ」


身じろぎするウルキオラ。
4人の心がポッ☆と暖かくなった。



「ていうかてめぇら帰れ。こいつの寝顔タダで見てんなよ」

「...へいへい。おら帰んぞ」


3人は仕方なしに部屋を出て行った。
こんなシチュエーションはいつものことであった。







3人が立ち去った静かな部屋。
たくさんお菓子が散乱している。

「あーあ、コレ全部俺が片付けるのかよ...ウルは寝てるし」


はあ。
溜息ひとつ。



「ん...ぐり、えくれあ...ちょうらい...」

ウルキオラが何だか変な寝言を言っている。
その髪を優しく指先で梳いてやりながら、




「ウル...除菌」


むさ苦しい男達の頬に触れたウルキオラの唇を、
何度も何度も自分のそれで塞いだ。






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祭さま、大変おまたせいたしました〜!!
にもかかわらず駄文も駄文ですね;グダグダ感がハンパない。

てなわけで祭さまからの444キリリクでした!
ほのぼのということで、「ほのぼの、ほのぼの」と意識しまくって書いたら。
なんていうかバカ。ギャグ?でもない。
ウルが後半総受け気味で申し訳ないです。
ノイノイ達はウルが好きなわけではなく、
グリムジョーをからかうためにキスさせようとしたんです。ってことにしてください。

でも私自身書くのがすごく楽しかった。だからよい。自己満!!
とはいえ細かくチェックできなかったので誤字脱字があるかもしれません。
その時は書き直します〜;;

こんなんでお楽しみいただけたでしょうか...??

えーっと。
祭さまのみ、苦情や「書き直せ!」は承ります。
リクエストありがとうございました!
また貴女様にキリ番を踏んでいただけますように!

        2010 11/13 Sat あしゅれん

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