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Novel
その翡翠に恋をした
グリウル←ルピで原作捏造。
うちには珍しくウルが歪んでます。狂ってます。
ルピが好きな人はあまり見ないほうがいいかも・・・

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一度だけ、恋をしたことがあった。

あの何処までも深い翡翠。
主の命令に従い、行動するだけの人形を、
血を浴びすぎた化け物を、

一度だけ、手に入れたいと思ったことがあった。


だけど翡翠は、
どんなに近付いても遥か遠く、
その瞳に僕を映すことはなかった。



グリムジョーとウルキオラが、付き合っているということは。
結構前から知っていた。


それは虚圏の七不思議にもなっている。

だってあれほど犬猿の仲と言われたあの二人が、
随分と長いこと付き合っているのだから。


不思議だった。
あの虚無のカタマリだったウルキオラが、グリムジョーの恋人として存在していられる事が。

あの化け物が、
他人を好くという行為を果たして知っているのだろうか?

いや、答えは解りきっている。

ウルキオラは、グリムジョーを決して愛してはいない。
付き合っているのも、
気まぐれか、ほんのちょっとの興味だろう。


それにしても、なぜなのか。

気まぐれやちょっとしたお遊びなら、
僕だって得意なのに。



「ねぇ、ウルキオラぁ」

僕が十刃に昇格してから初めての会議の後、
僕はいつもグリムジョーがしていたみたいに、
ウルキオラに突っ掛かってみた。


「グリムジョー、十刃から落とされちゃったね〜。
ほんと、馬鹿だよね。」

「…ああ、そうだな」


予想通り、ウルキオラは表情一つ変えなかった。

まるで僕ごときが馬鹿にしても何も感じないんだ、
そう言われているようだった。


実際そうなのだろうけど。

誰がグリムジョーを馬鹿にしようが、
きっとウルキオラは何も感じやしない。


でも、十刃から落とされたグリムジョーとまだ付き合っているのは何故なのか。

それだけが不思議だった。


僕は十刃に成り上がった時、しめたと思った。


届かなかった翡翠に、
その恋人が元いた場所に就くことで少しだけ、
近づけたような気がしたから。


だけどそれは間違いだったのかもしれない。


ある日、廊下をふらふらと歩いているウルキオラを見た。


目的も無く、なんとなく何かを探すように。

ウルキオラがちゃんとした理由もなくふらふらしているなんてめずらしい。


「ウルキオラ。何してるの?」

「ルピか。グリムジョーを知らないか?」


ウルキオラの口からグリムジョーの言葉が出た時、
虫図が走った。


「……君は、」

グリムジョーをどうしたいの?
どうされたいの…?


思わず、口から出そうになったその言葉。


僕はグリムジョーに嫉妬していた。
ウルキオラが、欲しいから。

グリムジョーが憎い。
ウルキオラを自分だけの物にしたい。
グリムジョーが疎ましい。
ウルキオラをグリムジョーから引き離したい。


ぐるぐると渦巻く、感情。
これが僕の、狂った恋。



ウルキオラは、夜になるといつもグリムジョーを探していた。

一応、恋人らしいことはしているみたいだ。

どこまでやってるかは知らないけれど、
グリムジョーがウルキオラを病的なくらい愛しているのは確かだ。


グリムジョーは自分が十刃になった時からずっとウルキオラだけを見ていた。

じっと獲物の様子を伺うように、
ウルキオラが自分の手に落ちるのを待っていた。


ウルキオラと付き合い始めたのはそれから結構経ってから。
廊下で思い切り告白したとか。

「てめぇに惚れたんだ!俺と付き合いやがれ!」

それはもう、なんとも偉そうな台詞で。


その時はフラれたが、
あまりのしつこさに「いいだろう…」と折れたウルキオラ。

ウルキオラが自分より階級が下の奴と付き合うなんて、と
十刃内は騒然とした。


それが今、ウルキオラは自ら会いに行ったりするようになっている。


グリムジョーに、少なくとも何か、
特別な感情を抱いているということか。

僕に向けるものとは違う、
特別な目でグリムジョーを見ていると言うことか。


ますます、気分が悪くなった。




ある日、廊下でまたウルキオラを見かけた。

いつものように話しかけて油断させて、




僕は衝動的に、

ウルキオラを押し倒した。




ウルキオラはただ、
黙って僕を見ていた。


下らない、と見下されているみたいな気分だった。


もうどうでも良くなって、
ウルキオラの服を引き裂いて、その身体を組み敷いて。


「ウルキオラ…グリムジョーにも、こんなふうに好きにさせてるの?」

「……。」

「こうやって、躯を開いてるの…?」

「……。」

「何とか言えよ!」


ウルキオラの顔に近い床を殴りつけると、
ウルキオラはフイと横を見たきり、僕を見なくなった。


僕はウルキオラの身体を貪る。
本能のままに。


「毎日のように、グリムジョーに会いに行って…
こうやって無意味な事してるんだ?第4十刃ともあろうアンタが、
下の階級の奴に抱かれてるなんてね!
はっ、傷の舐め合い!?馬ッ鹿じゃない!?」


全てを言い切って息を乱す僕に、
ウルキオラが、やっと口をきいた。


「…グリムジョーは、そんな雑魚じみた事はせん」

「――――…!」

「馬鹿に見えて…意外と頭に脳が詰まってるようだ。
少なくとも貴様よりは」



ウルキオラが、グリムジョーを庇うような言葉を吐いた。

「俺達は無意味な生き物だ。
こうやって愚かな行為をするのも、うっ」


これ以上、聞きたくなくて。
僕はウルキオラにキスをした。


薄い手の平での平手打ちを食らう。
初めてウルキオラが抵抗した瞬間だった。


「いった…」

「下衆が不快だ不愉快だ、
今すぐ離れろ。俺に触れるな」


ウルキオラが機械的に早口で僕をなじった、
その時だった。


「てめぇぇ!何してやがる!!!」


ものすごい勢いで近づいてくる、霊圧、声。
グリムジョーだ。

グリムジョーは僕を脚で蹴飛ばし、
ウルキオラを抱き起こした。



「ウルキオラ・・・」

「平気だ。大したことはされてない」


ボロボロの服を纏ったウルキオラに自分の上着を着せるグリムジョー。
ウルキオラもまた、甘んじてそれを受けていた。


「ルピてめぇ・・・ぶっ殺す!!」

「よせ」


ピタリと動きを止めるグリムジョー。
僕も目を見開いた。

「こんな場所で騒ぎを起こすな。
グリムジョー、お前は片腕でこいつに挑むのか?」


ウルキオラはグリムジョーに「行くぞ」と声をかけ、
さっさと立ち去ってしまった。


「・・・ぜってーいつかブッ殺す」


グリムジョーも、焦るようにその後を追っていった。





それから数日後、
ウルキオラが一人の人間を連れ帰ることに成功した。
井上織姫、と言ったか。


僕は激しく損傷し、
グリムジョーも無茶をし血だらけで帰ってきていた。


「事象の拒絶」


そんな能力、信じるわけ無い。
ありえない。
だけど藍染様は目の前でそれを証明させた。



みるみるうちに、灰となって消えたはずのグリムジョーの腕が、
再生していく。


あの腕が完全に戻ったら。
グリムジョーがやる事なんて、決まってる。


どうしようもない焦燥感に襲われた。
自分だって、#6になれたのに。
同じ#6だった男相手に、負けるなんて保証は無いのに。



殺される。

本能が悲鳴を上げた。



その時にはもう。
僕の腹にグリムジョーの腕が貫通していた。




「ぐ・・・ッ、グリムジョー・・・てめぇ・・・」


悦びに爛々と輝く、グリムジョーの目がこんなに近い。
待ち望んでいたのか。
こうやって僕を、串刺しにすることを。


グリムジョーの目には悦びと同時に、
僕に対する、恨み、憎悪・・・

そんな感情が見えた。

一番に、殺す気だったんだ。
ウルキオラに手を出したこの僕を。

「ぐふっ・・・」


ああ、血が。


グリムジョーの体に降り注いでいる。

これが僕の血か。
紅い噴水のようだ。


ふと、ウルキオラを見た。
こっちを見てるようだ。


最後になって、君の眼に映ることができた。
僕の心は一瞬だけ、満たされた、筈だった。



でも、ウルキオラは、





笑っていた。





血の噴水に酔い痴れるように。
その翡翠にはやはり、


グリムジョーしか、映っていなかった。




うっとりと、目を細めて。
頬を桜色に染めて。
口元に弧を描かせて。


血に濡れる恋人の姿に酔っている。




ああ、やはり君は狂っている。
でもその姿は本当に美しかった。


結局はウルキオラだって、グリムジョーに惚れていたということか。
本当に浅はかで、滑稽。


「じゃあな、“元”6番」



笑いさえ込み上げてきて、
僕は誰にも聴こえないような声で言った。



「ウルキオラ、愛してる」


もう、さよならだ。
そこの馬鹿と、くれぐれもお幸せに。





僕の体を、見たことも無いくらい明るい、
盲目になりそうなくらい眩しい光が包んだ。



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時期もへったくれもないがまさかのルピサイド。
うちのグリウルはいつもへにょへにょしてるからたまにはこういうのも、
と思って書きましたがやはり私には向いてない。
書いてて正直楽しくなかった・・・。
やっぱり仲良しで幸せなグリウルが一番ですな。



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