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Novel
インフルエンザ
学パロ。グリがインフルでくたくたに。長いです。

グリウル同棲設定

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「グリムジョー、授業終わったぞ〜?」



ロイが、そいつを揺り起こす。
「・・・ん?おお」と目を覚まし、
そいつは突っ伏していた机から起き上がった。



「・・・グリムジョー」



。。。なんだか、えらくボーっとしていないか。
「悪り、先食っといてくれ」と言い、
グリムジョーは大きくあくびをした。



「お前・・・顔色悪いぞ・・・?」


「そうか?朝からなんかボーっとするんだよ」



。。。やっぱり。




グリムジョーは「お前も、あいつらと食っとけ」と言って、
教室を出て行ってしまった。



「・・・。」



様子がおかしい。。。
心配だ。




「あ!ウルキオラ!!」




俺を呼ぶロイの声もそのままに、
俺は急いでそいつの後を追った。






グリムジョーは、独り階段に腰掛けていた。
俺に気づくと、「お前・・・」と小さく呟いた。



「グリムジョー・・・大丈夫か?」


「大したことねぇって」




俺はそいつの隣に腰掛ける。
グリムジョーはハァ。。。とため息をつき、
掌を額に押し付けて前髪を掻き上げる仕草をした。





「・・・帰ろう」




俺は自然にそう言っていた。


グリムジョーが、指の隙間からこちらを見る。




「今日は帰るぞ。様子を見て、容態次第では病院へ行くぞ」




グリムジョーが返答する前に俺は立ち上がり、
「待ってろ」と言って走り出した。




「ウルキオラ!グリムジョーどうしたって?」


「どうも体調が優れないようだ。
今日は連れて帰ることにする」





イールフォルトとロイが顔を見合わせて、
「もしかして・・・」とそろって言った。



「それってインフルじゃねぇ?」


「いんふる・・・?」


「この時期流行りのインフルエンザだよ。
ウチのクラス、流行ってるもんなー。」


「いんふる・・・」


「もしそうだったら、ウルキオラも気をつけな。
今までみたいにスプーンとかで間接キスしてたら、
すぐ感染っちゃうぞ」




。。。俺とグリムジョーの間接キスは、
何故かおなじみになっている。



「早退するんだろ?コレ、グリムジョーの荷物だ」



イールから荷物を受け取り、
自分の荷物を持って俺は教室を出た。






「歩けるか?もう少しだぞ」


「おう・・・悪りぃな・・・重いだろ・・・?
もういい・・・一人で歩ける・・・」


「無理をするな。別に重くはない」




グリムジョーに肩を貸しながら、
タクシー通りまで歩く。



結局あの後病院へ行くと、
『新型インフルエンザ』だと診断された。




タクシーを止めて乗り込む。
行き先を告げると車が発進した。





余程辛いのか、グリムジョーは顔を片手で覆ったまま
上を向いている。


その手をどけて、俺はそいつの額に手を当てた。



ひどい熱だ。40度くらいありそう。



「グリムジョー、俺の肩にもたれろ」


そう言って肩を少しそいつに近づける。


強がって言うことを聞かないかと思ったが、
しばらくしてゆっくりと、
グリムジョーは俺の肩に頭を預けた。
体重も一緒に、俺に預けてくる。




「わ・・・り、ちょっとだけ・・・だから」


「いい、降りるまでそうしていろ」




グリムジョーの声がかすれている。
息も上がっているようだ。


グリムジョーの乱れた青い髪が、
俺の首に当たって少しくすぐったい。



こんな時なのに、俺は胸を高鳴らせていた。
グリムジョーの体温と熱い吐息が間近にあるから。


同棲(?)している家に戻りそいつを寝かせると、
俺はタオルと氷を洗面器に入れて持ってきた。




「・・・はぁー・・・」




辛そうに息を吐くグリムジョー。




体温計を、そいつの腋にはさむ。
測定してる間に、氷水でタオルを冷やして固く絞った。



グリムジョーの前髪を払う。
額が汗で濡れていた。


そこにタオルを置いたところで、体温計がなった。



『40.2』



高いな。。。俺なら沸騰しているかも。




「しばらく寝ていろよ」


「・・・・・・ん・・・」



きつく閉じられた目、紅く染まった頬、
顔から首筋にまで流れる汗を見て、
グリムジョーがイく瞬間を思い出してしまった。
慌てて目を逸らす。



。。。いろっぽい、な。



「・・・きっつ・・・」



グリムジョーの声にハっとした。
どうすることもできずに、
俺は両手をグリムジョーの頬に置いた。



俺の手が、グリムジョーの熱を吸収していく。



「・・・お前の手・・・冷たくて気持ちいい・・・
しばらくそうしてて・・・」



辛いからか、グリムジョーの口調が少し優しい。
胸がまたギュっとなった。



「・・・寝れそうか・・・?」


「・・・分かんね・・・あ、タオル替えてくんねぇ・・・?」




もう熱くなったのか。


タオルを絞り直してそいつの額に置く。



「・・・サンキュ・・・ウルキオラ・・・」


「・・・ぅ、うん・・・///」





それからしばらく経つと、
グリムジョーは眠りに落ちた。



そのうちに水を替えてこようと洗面所に行く。
部屋に戻り、新しい水でもう一度タオルを絞り直してそいつの額に置いた。




その時だった。




グリムジョーの手が伸びてきて、
俺は布団の中に引っ張り込まれた。



「!?・・・!?!?」




グリムジョーは眠ったまま、俺を抱きしめる。


そいつの額のタオルが落ちて、
俺の額にべちゃりと貼りついた。



今替えたばかりのタオルが、もうぬるい。
余程熱が高いのだろう。。。




「・・・つめてー・・・」




寝言なのかそう言い、
そいつはまた寝息を立て始めた。



。。。どうすればいいのだろう。




抱かれたまま、動くことができない。
心臓も暴れている。


出ようとも思ったが、グリムジョーがあまりにも気持ちよさそうで。
それができなかった。



仕方ない。
このまま大人しくしておこう。。。






                Ф



熱い。。。
苦しい。。。


なんなんだこの辛さ。



寝ているのに体が重い。
両足は鉛みてぇだ。。。


眠ったら眠ったで、嫌な夢ばかり見る。



誰か、この辛さをどうにかしてくれ----------




「ーーーー・・・」



はっとしたように、目が覚めた。




。。。あれ。。。ウルキオラ?
なんで俺、ウルキオラを抱いてんだ?



ウルキオラは俺の腕の中ですやすや眠っていた。
可愛いなぁ。


俺が無理矢理引っ張り込んだらしい。
うわ、悪いことしたなと思いながら、
俺は体を起こして立ち上がった。




その途端、世界がぐるりと回ったかのように見えた。
ただの重度の立ちくらみだったのだが。


水がほしくなり、ウルキオラを残して
廊下に足を踏み入れる。


途中でよろめいて壁に激突してしまった。



その音に気づいたのか、
ウルキオラが起きて駆けつけてくる。




「!グリムジョー、馬鹿かお前病人が歩くんじゃない」



すごい早口でそう言われ、
さっさと布団の中に戻された。



「水なら俺が持ってくるから、ちゃんと起こせ」



そう言って氷がいっぱい入った水を持ってきてくれた。




「・・・つかお前・・・もう完璧感染ってるんだろうな」


「その時はお前が看病しろよ。
じゃあそろそろ行ってくる」


「?どこにだよ?」


「ハリベルに、病院に忘れた薬をもらいに」


「忘れたんかい」




ウルキオラは俺を無視して、
パーカーを羽織って出て行ってしまった。




少し楽になってきたので煙草に火をつける。
それを口に運びながら、考えた。




(やべ、なんか寂しい)



ウルキオラが出て行ってまだ10分も経ってないのに。
それほど、いつも一緒にいるんだろーな。





すぐにウルキオラは帰って来た。


俺が寝てた時のためか、
部屋のドアをそっと開け、中を覗くウルキオラ。
その時に目が合い、そいつは眉間にシワを寄せた。



「くたばってるときに煙草吸う奴がいるとはな」



嫌味ったらしくそう言い、
俺の手から煙草を取り上げる。
俺は「あっ」と声を上げた。



「取んなよ。俺にとっては薬同然なんだからよォ」


「ふざけるな。箱ごと没収するからな」




灰皿に煙草を押し付けて、
俺に「飲め」と薬を渡してきた。



「おう、悪いな・・・それにしても早かったな」


「お前のために急いで帰って来たんだ。
煙草ふかしてるとは知らずにな」



「悪かったって。・・・あ、どこ行くんだ?」


「コンビニに行ってくる。何か買ってくるものは?」


「・・・じゃあ・・・煙草ワブッ」



答えると同時に、俺の顔面にそいつの踵がめり込んだ。


。。。俺病人なんスけど。



「もう一度言ってもらおうか」



「・・・コーヒーと・・・小腹がおさまるもので・・・」


「いい子だ」



ウルキオラはケータイと財布を取り、
部屋を出て行った。




「あ、ウルキオラ!」



思わず呼び止める。




「なんだ?」



「やっぱ・・・行くなよ」


「何故?」




寂しいからだよ。
言わせるなよバカ。



「そんなに俺が好きか、甘えん坊」


「うるせ・・・」



ウルキオラが俺のそばに近づいてくる。




どちらともなく、唇を寄せた。






。。。10秒後。





「あ」



気づくも、遅し。




ウルキオラにインフルを移してしまうことになったのだった。



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