Novel
作ったもの
前サイト記念小説のくせに本当にくだらない話。ウルが下品な食べ物に挑戦。
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朝起きると、隣で寝ていたはずのウルがいなかった。
「・・・?ウル?」
俺はのっそりと身体を起こして部屋を出た。
自宮を出て、しばらく歩くとウルの部屋がある。
ドアを開けると、部屋にはいつもの殺風景な景色が広がっているだけで。
「あいつ・・・どこ行きやがったんだ?」
と。
部屋の向こうから、気配。
まぎれもなくウルのものだった。
「ウル?ここにいんのか?」
そっと扉を開けると。。。
「グリムジョーか。ちょうどいい、おもしろい物が完成したんだ」
台所のそばでこちらに背を向け、うんこ座りしているウルがいた。
「お前どんなカッコだよ・・・何してんだ?」
「来てみろ。」
ウルに手招きされ、今日は何をやらかしたんだと思いながら近づく。
「・・・。」
「どうだ?」
「・・・・・・えっと」
何ですかコレ。。。
見るからに「バケツ」としか言いようが無い容器に並々と入っているソレ。
黄色。。。というか黄土色のなんだかグロい物体。。。
それは生きているようにプルンと揺れている。
ウルは細い指先でその物体の表面をつんつん、とつつく。
それはたぷん、と怪しく波を立てた。
「・・・ふふ。愛らしいな」
。。。愛らしい?
どこが?
このグロテスクすぎる黄土ボディがか?
「な、ウル・・・それなんだ?」
「これか?ばけつぷりんだ」
。。。ばけつ。。。ぷりん。。。
え、ちょっと待った。
コレ食えんの?
バケツプリンて。。。聞いたことはあるが、
ホントに作る奴なんて初めて見た。
「それ・・・お前が作ったのか?」
「そうだ。見た目は中々の出来栄えだろう?」
こいつの美的センスは未だに全く理解できない。
「さて・・・せっかく綺麗に出来たものを崩すのはもったいないが・・・
食うために作ったのだからな。
グリも来たことだし、味見していくといい」
「え!!?」
ちょッ、ヤバい!!
「・・・・・・何だ?」
「あっ、いや・・・(逃げなきゃ・・・)」
俺はバケツから皿に物体を移すウルを見て焦った。
「てか・・・お前そんなに食えるのかよ?」
「食える。バケツごと冷蔵庫に入れておけばいいだろう」
ウルは無言で俺に皿を突き出した。
「あっ、えっ、俺に?」
「お前以外の誰がいるというんだ」
言いながら、ウルは直接バケツから物体を食った。
その様子を、じっと見守る。
「・・・。」
「・・・。」
ウルはしばらく、もっちゃもっちゃと租借した。
「・・・どうだ?」
「・・・ん、美味い」
「マジで」
ウルは料理の味付けは殺人的にヤバいのだが、
意外と味覚は正常だ。
てことは俺が食べても大丈夫というワケで。
俺もおそるおそる、
ウルが差し出した皿を取って、
その揺らめくプリンを口に運んだ。
「・・・」
「どうだ?グリ」
今度はウルが俺に聞いてきた。
ぐに、ぶにゅ。
これがプリンなのか?
歯で噛み潰したとたん変な汁が噴出してきた。
何だか虚時代を思い出す、他人の肉を食んだような感じ。
でも、
口の中に広がる(まともな)甘さ。
牛乳とカスタードと。。。卵か。
手作りだけあって何が原料なのかすぐに分かった。
で、食感こそはアレだが、
うん。美味いと思う。
「お前にしちゃマトモじゃねぇか」
「美味いだろう?」
カラメルも使ってあるのか、
いい具合にほろ苦い味を感じる。
「カラメル使ったのか?いい感じに苦い」
「いや使ってない」
「は?だって味が・・・」
「グリムジョー。知っているか。
真の職人は、じっくり煮込んだカレーをすぐに食べずに、
棚裏で眠らせてから使うんだ」
「へぇ」
「納豆だって豆が腐って醗酵したものだし」
「マジで」
「酒とかも長い年月をかけて作るんだ」
「てことはつまりコレ腐ってんの?」
「半年前からじっくり放置して作った。苦味はそのお陰だな」
「へぇ・・・・・・」
ウルはプリンをみんなに配った。
他人の肉を食う虚の習性が残る俺達には、
そのクセのある食感は大好評だった。
ただ次の日、
ラスノーチェスの便所が混雑した事は言うまでも無い。
そして、ウルキオラだけがけろりとしていたことも。
くっだらね=====!!!!!
オチねえじゃん!
ただ最近バケツプリン作ろうかなあと思っていて書いたもの。
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