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赤色マジック
(※アカイトと僕っ子とバカイトが一緒に暮らしてます。)

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「カイトさあぁぁ―――んっ!」


ガバァという効果音がお似合いの勢いで抱き付いて来たのは同じ青い髪と青い瞳をした…


「ど、どうしたのカイト君!?」


同じ機種だけど僕よりずっと大人びた顔をした、でも中身は子供なカイト君が瞳に一杯涙を溜めて僕にしがみついてくる。頭や頬をあやすとグズりながらも訳を話してくれて…


「うぅ…アカイトさんが…っ、アカイトさんが苛めるんですぅ〜…」


言われた彼の言葉に先程から視界にちらついてる赤色にパッと目を向ければ、面倒くさそうに眉間に皺を寄せた赤い髪の人物と目が合った。


「あっ君!カイト君苛めたって本当!?」

「…苛めてねーよ、」


『あっ君』と呼んだ彼は僕達『KAITO』のメインカラーを赤色にカスタマイズした、属に亜種ロイドと呼ばれる『AKAITO』君の事だ。
僕がアカイト君に事の真相を問い質せば、溜め息を吐きながら真っ赤な瞳を閉じられる。


「腹減ったからそいつのアイス盗み食いしたら泣き出しただけだ」

「それは酷い!カイト君に謝りなさい!」

「…やっぱお前も『KAITO』なのな」


どういう意味か良く分からなかったけど…でも無断でアイスを食べてしまうのは良くないことだと思う!僕はその一心でアカイト君に謝罪するよう呼び掛けた。でも何度言っても面倒くさそうにそっぽを向かれるだけで…。


「おぉ〜怖、怖!カイトが怒って怖いよぉ〜」


怖がってる素振りなんか微塵も感じさせないのに遂にはそんな事まで言われてしまう。ほとほと困ってると僕にしがみつきながらカイト君もアカイト君に涙目の顔を向け、


「俺だってカイトですよ!ガオーっ!!」

「はいはいお前は『可愛い』な。『バカワイイー』な」


『カイト怖い』と言われてアカイト君を怯えさせようとしたみたいだけど敢えなく失敗したみたい…。カイト君は悔しそうにウーウー唸るだけだった。
マスターから3人仲良くしろといつも言われる僕達だけど、どうもアカイト君は人を気遣うとか優しい言葉を掛けるとかは苦手みたいだ。おまけに少しSっ気があるのか、唸るカイト君と多分困った顔をしている僕を見て楽しそうに笑ってる。

…暫くそうしてた僕達だけど、ふいにカイト君がアカイト君から顔を避けた。


「もう良いです!カイトさん、行きましょう!」

「え?でも…」

「アカイトさんなんか大っ嫌い!!」


ベー!と舌を出したカイト君は何を言っても無駄だと判断したらしく。彼に手を引かれながら僕もその場を離された。
アイス無断食いが今だ気になるけど被害者本人にそう言われたらどうすれば良いのか分からなくて…。部屋から出ようとカイト君の手がノブに掛けられたと同時にアカイト君が声を発する。


「バカイト」

「…何ですか?」

「明日予定空けとけ」

「…?」

「無性にダッツアイスをお前に奢りたくなった」

「「!!」」


その言葉にカイト君だけでなく、僕も彼に目を向けてしまう。
随分とストレートに言われた言葉。失礼だけど、多分カイト君が直ぐ理解出来るようわざとハッキリ言ったに違いない。
凝視している僕達を見て、アカイト君はニヤリと笑った。



「…5個でどうだ?」



最早トドメの言葉だった。


「アカイトさぁ〜ん!」


ノブと僕の手から離れ、今度はアカイト君にガバァと抱き付きに行ったカイト君。
僕の時と違うのは彼の声色が凄く甘えたもので満面の笑みを浮かべてるところだろう。


「俺…!俺!アカイトさん大好きですっ!」

「よしよし、俺も大好きだぜ?」


さっきと真逆の事を言いすりすりと擦り寄る。表情がコロコロ変わる単純な彼を見事丸め込んでしまったアカイト君にポカーンと口が開いてしまった。
そんな僕を見て、アカイト君がカイト君を左腕に抱き留めながら笑顔で一言。


「右手空いてるけどお前もど??」

「!い、良い!!」


意地の悪そうな微笑みが無性に格好良く感じて気恥ずかしさについついそんな言葉が口走った。真っ赤になってるだろう顔を背けてるとニヤリとした赤い瞳がいつの間にか近付いてて…元々僕の意見なんか聞くつもりなかったのか、容赦なく右腕に捕まる。


「ちょっ…、あっ君…!」

「お前は照れると『可愛い』な」

「〜〜っ」


いつの間にか僕も彼に丸め込まれているらしい…
やっぱりアカイト君はSっ気があると思った。



END.


カイト三つ巴。アカイトの呼び方を『あっ君』にしようか『アカイト君』にしようか悩んだ結果、個人的には『あっ君』が良かったのと全部『あっ君』にしたら誰か分からなくなったという理由で会話以外は『アカイト君』にしました(笑)


20110418


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