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家事はきっと紫の子がやってくれる


「兄ちゃん大丈夫?」

「…………………うん、大丈夫だよ」

「ごめん、聞くだけ無駄だった。」


だいぶ間を開けてから答えたから絶対大丈夫じゃないのに。自分を卑下するレンに「そんな事ないよ」と優しく微笑んだカイトは現在、自室のベットでくったりしています。
うつ伏せで枕を抱き締めシーツを被っている彼は一見元気そうだが、動き回れないぐらいには身体。主に腰にダメージが来ていた。
…心配そうに様子を診てくれるレンと主人であるマスターとの、昨晩の3Pのせいで。


「あの体勢…どう考えても兄ちゃんに一番ダメージ行くよね…」

「レンは身体大丈夫なの?」

「うん、割と平気。」

「やっぱり若い子は違うんだなぁ〜」

「兄ちゃん台詞がおばさん臭いよ?」


昨晩行われたのは俗に三連結やサンドイッチと呼ばれる、3Pならではのプレイだった。男×3、又は男×2女×1で可能な体位であり、アバウトに言えば攻め→リバ→受けで連結するように挿入するというもの。
勿論実際にやるとそんな簡単に説明出来るほどソフトな体位ではない。特に挿入もすれば、される方も担当しなければならないリバの受ける快感はかなりのもので、当然ながらこの場所はマスターには受け、レンには攻めで通っているカイトが担当せざるを得なかった。
リバに関わらず、攻めの動きもリバの動きもいっしょくたに受ける事になる受けの快感も相当なものなのだが、元々の優しい性格でセーブしてくれた動きと勃っても柔らかめな体質であるカイトのお陰でレンにそこまでダメージはいかなかったのである。それでも若すぎる故、成人男性より体力が劣るレンは早々に気を失ってしまったのだが…これがまたカイトにダメージを与えるきっかけに。
気絶したレンにマスターの欲を慰める術はなく。無駄に体力があるマスターの残りの欲は全てカイトが請け負わなくてはならなくなったのだ。「俺、明日休みだから♪」という何とも迷惑な理由で3P抜きにしても二時間啼かされたカイトの翌日のダメージは半端ではなく。こうしてベットに横たわる形となってしまった。
逆に言えば、早々に気絶したために兄が残りの欲を請け負った事になり、責任を感じているレンは「せめておじさんが良いなぁ…」と苦笑するカイトを介抱している。


(それにしても、)


最近のマスターは調子に乗りすぎだとレンは思った。サイドイッチされて只でさえくたくただった兄を気遣いもせずに二時間ぶっ通し。いくらなんでも酷過ぎる。


(いくらカイ兄ちゃんがドMだからって意外と体力あるからって可愛いからって…っ!!)


だんだんムカムカしてきたレンは座っていた椅子をガタンッと倒す勢いで立ち上がった。突然大きな音を立てて立ったレンにカイトの身体もビクッと跳ね…が、跳ねた際に痛んでいる腰を上げてしまい瞬時に激痛。枕に倒れた。
悲鳴を上げた腰を宥めるように擦っていると元凶であるレンが慌ててごめんと謝りながら、意を決したようにムンっと顔を近付けて来て。


「兄ちゃん。俺決めた」

「?」

「俺……マスターを襲う!!」

「え!?」


妙案を思い付いた悪戯っ子の顔をしているレンの言葉にカイトは自分の耳を疑う。


「マスターは受ける方の気持ちを分からな過ぎなんだよっ!!だから俺がマスターを襲って、こっちの気持ちも分からせてやるんだ!!」


そしたら俺だけじゃなく、兄ちゃんにも気を遣ってくれるはずとやけに自信満々に笑みを浮かべるレン。が、言われたカイトはどう考えても妙案だとは思わなかった。あのマスターを襲うなんて…押し倒した時点で「今日は積極的だなぁ〜」と反転させられ、逆に押し倒されるのが目に見えてる。
…それ以前に。


「ねぇ…レンっていわゆる……上になったことあったっけ?」

「?ないよ。」

「………ごめん、やる気満々なところ悪いけど……無理…だと思う。」

「うぐっ」


カイトは出来るだけ相手を傷付けないように優しく、けれどもはっきりと言い切った。
百歩譲ってマスターを襲いに行くにしても、攻めの経験があるカイトが行くなら未だしも経験のないレンが行くなんてそれこそ襲われに行くようなものだ。
同じく百歩譲ってレンが攻めに回るのも。大人しいカイトが相手なら未だしも野獣であるマスターを相手にするなんてそれも襲われに行くようなもの。


「だ、大丈夫だよ!俺に任せて!!」


けれども一度決めたら突っ走ってしまう行動力が持ち味のレンは冷や汗を掻きながらもマスターを襲うべく部屋を飛び出してしまって…仕方なくカイトは脇に置いてある携帯電話に手を伸ばし、メール画面を開く。


『がくぽ。悪いけど買い出し頼んでも良いかな?今日キャベツが安いんだ』


それだけ打って送信すれば、一分も経たずにがくぽから『良いぞ』と返事が返ってきた。
他にも買って来て欲しいものを…でも全ては打たず。2、3個ほど品物名と少し遠めのスーパーの名前を打つと再びメールを送信する。


(がくぽ…翻弄させちゃってごめんね…)


マスターが攻めに回るにしてもレンが攻めに…まぁ、それはないだろうけど。
何にしてもがくぽを長時間外に追い出さなくてはならないので、送った商品を買い終わる頃にまた別の物を頼むを繰り返し、カイトは時間を稼ごうと考えた。

―――がくぽが出て数分後、隣の部屋からレンの奇声が漏れて来たのは言うまでもない。



end.
たまにはベッドでくったりしてる兄さん萌えハァハァ。←


20111026


あきゅろす。
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