リアルタイム・メール
『リアルタイム・メール』
〜♪
携帯電話の着信音が鳴る。
この着メロは…『彼』がメールを送って来た時に鳴る音楽だ!と分かると私は急いで携帯を開いた。
To.カオル
Sub.
『お前今どこにいる?』
とてもシンプルな本文が彼らしいと感じる。
返事を打つべく、私は『返信』ボタンを押した。
Sub.Re;
『本屋よ』
………
私も大概シンプルらしい…。
他に打つ言葉も見つからずこの一言だけ返信すると、何分も経たずに返事が返ってきた。
To.カオル
Sub.Re;Re;
『それって学校の近くの本屋だろ』
私は驚く。
何故なら彼の言うとおり…今、来ている本屋はソリア学園から歩いて5分も掛からない場所にある、学校からとても近い本屋だからだ。
見事的中させた彼へメールを打つ。
Sub.えぇ…
『欲しかった参考書が此処にあるって聞いて。
でもどうして分かったの?』
また直ぐ返ってくるだろうと思い、送信が終わった携帯電話をポケットに入れず右手に持ったままにした。
左手にはさっきのメールにも書いた惑星関連の参考書が一冊。
…ほら返ってきた。
私は携帯電話を開く。
To.カオル
Sub.Re;えぇ…
『うーん…じゃぁ、種明かし。
これから暇なら回れ右してみな。
忙しいならいい』
…参考書も手に入ったし、特に忙しくもない。
私は書いてあるとおりに回れ右をする。
「………プッ」
そこにいた、笑いながら手を振ってる黒髪の青年を見た途端思わず吹き出しちゃった。
「声、掛ければ良いじゃない――――」
END.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
現代風カオルナ。携帯電話やメールのやり取り辺りがだいぶ現代だと思います。…でもサヴァイヴ感も出したかったので敢えて学校の名前は『ソリア学園』のままにしてみました。
分からなかった方の為に…『これから暇なら回れ右』というのは、回れ右したら俺と会うから一緒にどっか行かね?という遠回しなお誘いの意味で書きました。
ルナちゃん見付けて驚かせてやろうと模索する子供っぽいカオルさんに可愛さを感じて下さると嬉しいです。
20100202
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