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「例の文官達が?」
それからしばらく。
真奈に反感を持っていた者達が強行手段に出た。
仁王や跡部を拐い、脅迫してきたのだ。
趙雲「えぇ…」
現代とは違い、情報収集がままならないこの世界では、二人を無事に助け出せるかは分からない。
司馬懿直属の密偵達も居る事には居るが、こちらに伝わるまでタイムラグがある。
誘拐されたのが一人なら、真奈一人でもなんとか出来る可能性があったのだが…。




「うち一人で来いってか…」
彼らが出した条件の一つは真奈が一人で交渉に望む、というものだった。
向こうの大まかな人数は把握している。
しかし、二人を無傷で救出するには真奈一人では無理だった。
しばらく考えた後、真奈は呂布へと視線を向けた。
「奉先は…確か弓上手やったよな?」
基本、多くの相手と近距離で戦う場面ばかりのため、方天戟の使用頻度が高いが、ごくたまに弓で相手を射抜く事があった。
素人である真奈から見てもそれは正確で、素晴らしかった。
呂布「それがどうした?」
「どのくらいの距離、正確に射てる?」
呂布「弓にもよるが…そうだな、この街の入口からこの城ぐらいだな」
「それやったら…いや、でも万全な感じで行くんやったら…ブツブツ」
趙雲「あの…どうするつもりなのですか?」
地図を眺めている真奈に趙雲が話しかける。



「犯人を奉先に弓で仕留めてもらう」



そのために必要な場所を探しながら真奈は答えた。
現代なら、沢山方法はあるだろう。
しかし、ここではあまりにも助けるための手段が少ない。
人質が一人ならば、真奈はおそらく単騎で向かった。
だが、二人となるとその方法は使えない。
今、どんな状況なのか分からないのが歯がゆかった。
そんな真奈は静かに怒っていた。
守ると、必ず元の世界へ二人を帰すと誓ったのに、この有り様。
二人をどうにかして助ける事しか真奈の頭に無かった。



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