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ACT.20 「新たな日常」



呂布「…………」
その日、呂布は機嫌が悪かった。
真奈が戻って来た、そこまでは良かった。
が、跡部はともかく一人増えた人物が気に入らなかった。
目付きも何だか人を小馬鹿にしたような印象だし、悪戯好きそうな態度も気にくわない。
何より、そいつは真奈が自分といる間ずっと捜そうとしていた人物。
真奈から自分では中々見る事の出来ない笑顔を向けられている。
なんだかムカつく。







仁「……(ほぅ…これが呂布)」
一方、仁王は呂布をじっと観察していた。
今自分の目の前にいる、バスケットボール選手のように背の高い男を。
こいつが自分が好きで仕方ない真奈の処女を奪い、尚且つ真奈があれほど人殺しに慣れた原因。







呉からの帰還途中の事である。
どうしたってこの乱れた世の中では犯罪が日常茶飯事だ。
強盗や追いはぎが横行し、特にそれぞれの支配下の辺境ともなるといくら孫堅達が国を良くしようとした所でその威光が届くはずもなく。
そういった輩はいくらでも湧いて出た。
基本的にまともに戦えるのはホウ徳と真奈のみ。
跡部達は当然として、諸葛亮も戦いは不得手だった。
そのため、真奈達が敵を引き付けている間に跡部達が逃げるというのが常だった。
そんな中、仁王は気付いた。
真奈の動きがだんだん良くなり、無駄なく最小限の力で相手を仕留めているという事に。
人を傷付ける事すら躊躇う自分とは違い、真奈はそれが呼吸をするかのように何人も何人も殺していた。



戦いに慣れきっていたのだ。
自分や跡部は幸いそうした環境ではなかったので、人を殺したのはたったの一度。
しかも、以降にそんな機会等無かった。
そこが自分達と真奈に差を作ってしまった。
一向に埋まる事の無い差を。





そんな事を一瞬で思考し、とりあえずそれを誰にもバレないよう、仁王は呂布に挨拶をする事にした。
仁「仁王雅治じゃ。よろしく頼むぜよ」
呂布「……あぁ」
呂布としては別によろしくしたくないのだが、年下にこのようにされては嫌でもよろしくしなければいけなかった。
二人のそんな光景を見て、真奈は争いが起きなくてホッとしたのは言うまでもない。



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あきゅろす。
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