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FATE【6万キリリク】:二人の大将の休暇【完】
B†夜の会† 1頁
 ワーヤス大将はリリスの別荘に戻り、中に入ったらご飯は既に準備してくれた。ワーヤスは一緒に食事をした。食事が終わったら、二人は雑談する。


 「突然訪問して、またいっぱい料理を作ってくれて、すみません。今度、料理は私に任せて下さい。リリス叔母さん」水帝国の大将は微笑みながら喋った。普段なら、休暇には読書と料理をする時間に回したワーヤス大将は、自分の手腕に自信を持っている。


 この別荘は彼が生まれ育ち家であるから。この空間で水帝国の大将がいつもよりほっとしている。両親が亡くなった後、別荘の面倒を見る人がいなくなり、彼も来る機会が少ない為、この家をリリス叔母にあげた。


  子供の頃、家の近くに住んでいたリリスから、お菓子をもらったり、玩具をくれたりしていた。肉親的な関係が無いとはいえ、彼にとって、リリスはたった一人残っている家族。


 少佐になった時から、ずっと『様』付けるようになり、その上、大将になったら、『大将殿』付けたりして、いくら止めたとしても聞いてくれなかった。独身で子供もいないリリスにとって、ワーヤスを息子のように可愛がっていた。憧れる息子である。


 「ワーヤス様の手料理・・・懐かしいですね。男なのに、女よりも料理がお上手で、噂になっていた」老人のリリスは昔のことを思い出し、クスクスと笑った。


 ワーヤスの手腕は誰も認めた。それに、料理という女の作業まで完璧にできた為、嫁を探す時に、両親も頭を抱えた。やっと結婚相手が見つかって、子供に恵まれたのに、悲劇は間もなくワーヤス大将を襲った。


 ワーヤスは両親がいた頃、いくら忙しくても年に一度この町へ戻ってくる。両親が他界した後、たびたびリリスの所へ訪問してくる。また、神世界では毎年で行う王族の墓参り以外、民の墓参りは五年に一度やるという伝統がある。無論、それ以外しても自由。


 時々南部で仕事がある時に、墓に花を供えることはあるが、五年ごとに、毎回ワーヤス大将は必ず母の好物である香袋をリリスから持っていく。それは習慣となり、リリスも毎回たくさん香袋を準備しておく。

 ただ、最後にワーヤス大将が墓参りしたのはおよそ三年前であった。


 今日は突然の墓参り。また、いつもと違い母の好物を取りに来た。リリス叔母は悪い予感した。それで、彼女は現状を言い始める。

 
 「チャナック王様とカリナ姫様の御不幸を聞いて、心配しました。また、レイサック新王様がこれから炎帝国と土帝国と開戦すると・・・」


 「はい。この町は戦に巻き込まれませぬ。叔母さんは安心してください」ワーヤスはリリスが戦争のことが心配していると思い、相手を安心させるように話した。


 すると、リリスは一人の名前を言い出す。

 「今回、あの方と戦うでしょう?いつもワーヤス様が言う『フォアナックス大将』という方」


 リリスの口から出た土帝国の大将の名前は、心まで響く。動揺して、ワーヤスの顔色が一瞬悪くなったが、相手を心配させたくない為、何もないようにし、短く答えた。

 「はい」


 毎度、軍の話になると、自分の記録を破ったフォアナックス大将は必ず出てくる。『天敵』ともいえる二人の優れた大将は、これまでの多数な戦争の中で、一度も一対一に戦ったことが無いのは『奇跡』であり、『運命』ともいえる。


 また、その日が来る時に、二人の大将の間では、誰も知らない『秘密な関係』があった。


 子供の時からワーヤス大将を見てきたリリスは、異常な様子を感じた。それは『恐怖』ではなく、また二人の間に必ず『何』があると感じる。だが、それを聞き出す気もなかった。リリスはワーヤスに告げる。


 「ワーヤス様の手料理が食べたいから、『今度』ここに来て作って下さい。老人を長く待たせてはいけませんね」優しく微笑みながら、告げたリリス叔母さん。


 『今度』とは『必ず戻ってください』という。言葉にしなくても、ワーヤス大将は彼女が彼を励ましてくれると分かった。


 「ありがとうございます。リリス叔母さん」返事は感謝する言葉だけ。約束言葉は大将の口から無かった。


 その後、二人が他の事で雑談して、月が昇り、もうすぐ空の真ん中に来ると、ワーヤス大将は別れの挨拶をし、南部の町から去り、水帝国の中央へ戻った。


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