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FATE【6万キリリク】:二人の大将の休暇【完】
@†朝の訓練†
太陽が東空から現れた・・・

開戦前の五日間・・・

緊張感は四帝国に広がっている・・・

偶然のように水帝国の大将と土帝国の大将は同日に休暇をもらい、自分の家で休むようになった。

当然、二人の大将は互いに休暇をとることを知るわけがない。

太陽とともに朝は二人の大将の家を訪ねた。



 二人の大将の家はお城からあまり離れていない。緊急の時、簡単に呼ばれる為である。海底にあるワーヤス大将の家は緑に囲まれている居心地の良い二階建て。それに対し、地下にあるフォアナックス大将の家は草原と小川に囲まれている一階建てである。


 それぞれの外壁は帝国の色を使っており、規模はほぼ同じ。

 高さに関して、一階建てのフォアナックス大将の家は、二階建ての家とほぼ同じ。家具も落ち着く茶色を利用している。


 二階にある大きい寝室で、太陽の光がワーヤスを目覚めさせた。

 ワーヤスはベッドから降り、桔梗色の瞳は若干赤くなっており、疲れが見える。この間、軍の準備は毎日大変であり、休む時間はほぼなかったから。


 たとえ神でも休暇が必要だ。過労すぎると敗戦のきっかけとなる。その大切さをよく知っているワーヤス大将は、レイサックから休暇をもらった時に躊躇わずに、受け取った。


 一方、一階建ての奥部屋にはフォアナックス大将の寝室。いつも窓を開いたまま寝るフォアナックスは、今朝いつものように小鳥の声で目覚めた。家の近くにある大きな木の上には雀の家族の豪邸になっている。


今日はいつもよりゆっくり出来る・・・と二人の大将が同じく思う。


 ワーヤス大将はベッドの隣にある小さな机に置いてある絵を取り、「おはよう」と挨拶した。この絵は一階にあるものと違う絵が描かれており、彼の息子が生まれて一か月後の幸せな家族の絵であった。

 挨拶した後、水帝国の大将は寝室内に着替え、今日は金色の鎧は必要ない為、ワーヤス大将はゆったりとした青いガウンだけを着る。

 大きな寝室から出る前に後ろに振り向け、「行ってくる」と誰にもいない寝室に言い、扉を閉め、一階にある庭へ降り、朝の軽い訓練を始める。


 一方、上半身を裸のままで寝たフォアナックスは、二三回身体を伸ばし、眠さを身体から追い出す。

 そして、土帝国の大将は部屋にある棚を開いた。その中には古い制服が掛けており、その服には血の跡付いている。


これはフォアナックス大将が、二等兵として戦争に参加した時の制服。


 ワーヤス大将と初めて出会った日から。彼はこの制服を力で大切に保管していた。何千年経っても。


 また、毎日朝練の前に必ずこの制服を見るとは土帝国の大将の習慣である。


いつか必ず『あの人』を自分の方向に振り向けさせる!・・・

あの桔梗色の瞳は他の誰でも無く彼だけを狙う・・・
 

 土帝国の大将の願望は今でも続いている。あの夜のワーヤス大将の身体の熱は、彼の身体は今でも全部覚えている。上げた甘い声とワーヤス体内の暖かさ。

 もう一度味わいたい。いや、また何度も味わいたい、とフォアナックス大将の心と身体が叫んでいる。

けれど・・・

 フォアナックスはその制服を見詰め、深い溜め息をし、棚を閉め、上半身は裸のままで家の外に出て、朝練を始める。


==4月13日更新==


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あきゅろす。
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