FATE[番外編]:二人の大将【完】
†A二人の少佐2頁†
仲間が罠に掛かって全滅、更に、兵を失ったのに、普段の者なら戸惑ってしまう筈だが、ワーヤス少佐には全く躊躇わなかった。
水帝国の少佐は近くの波を呼び、敵の部隊の真ん中を攻撃した。
攻める側から突然に守る側に変わり、土帝国の軍は混乱した。
その機会を使い、ワーヤス少佐は兵を命じて、敵を攻撃する。
この作戦でさっき兵を失った水帝国の軍は状況をひっくり返した。
部下を支配しながらワーヤス少佐は、土帝国の軍の中から彼と同じ銀色な鎧をつける者を探し、そしてようやく見付かった。
(あそこだ!)とワーヤス少佐が確信し、直ぐフォアナックス少佐が立っている所へ飛び出し、剣に水の力を含め、相手を攻撃する。
しかし、フォアナックス少佐はその攻撃の気配を先に感じ、振りかかる剣を自分の剣で受け止めた。
止められた強い力が回りに散り、土帝国の少佐の周りの兵が飛ばされた。二帝国の少佐だけその場に残っている。
フォアナックスが完璧にその攻撃を受け止められ、ワーヤスはこの少佐の手腕は噂通り上等であると分かり、相手を見やった。
鍛えている身体・・・
長い紫紺色の髪・・・
そして、強い意志を持つ藤色の瞳・・・
(面白い)ワーヤス少佐の顔に笑みが浮かび、桔梗色の瞳は真っ直ぐ敵帝国の少佐を見詰め、言う。
「はじめまして。あなたはあの噂の新しい少佐でしょう。私はワーヤス水帝国の少佐。仲間と部下は大分世話になったみたい。大した作戦だ」
丁寧に褒めているように聞こえるが、ワーヤス少佐の身体から殺気は全く少なくなっていない。
一方、フォアナックス少佐の藤色の瞳は大きく開いた。相手は彼のことを全然覚えていないみたい。が、土帝国の少佐は一度あの日のことを忘れることはなかった。
あの日のワーヤス少佐の姿は、二八〇〇年経ってもあまり変わらない。特にその真っ直ぐな桔梗色の瞳。一つだけ違うのは、鉄紺の長い髪を短くしただけ。
フォアナックスの視線を感じたワーヤスは、一瞬この藤色の瞳をどこかで見たことがあると思ったが、何も思い出さなかった。
新しい土帝国少佐は過去のことについて何も言わずに、自己紹介をする。
「そして、あなたはあの噂の最強のワーヤス少佐。お会い出来て光栄です。フォアナックスと申します。私の大事な作戦はあなたに破られたようですが・・・非常に勉強になりました」
フォアナックス少佐はもっと丁寧な言葉を返し、言い続けた。
「しかし、今日私は負けてはいけない理由があるので、失礼ですが、あなたを倒させて頂きます」
微笑んでいながら言い終わると、土帝国の少佐がワーヤス少佐に剣を刺した。
==1月6日更新==
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