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FATE[番外編]:二人の大将【完】
†C二人の行方2頁†
 その後、レイサック水王が無理矢理に水の魂を開放しようとする件で、ワーヤス大将は水王のこと以外、何も考えられなかった。それで、彼はバーナッド土王がいきなり現れ、死にかけた水王を助けたのを見て、驚いた。


 ワーヤス大将とアルタイル風王は、レイサック水王の安全を確認してから、水帝国の大将は見回りへ戻った。



 すると、一瞬だけ僅かなフォアナックス大将の気配を感じた。バーナッド土王がいるから、フォアナックス大将もいるのは当然。


 また、土帝国の大将がまだ城の中にいるとは、土王もまだいるに違いない。すぐに追いかけたら、木の下に土帝国の大将が立っていた。

 
 だが、ワーヤス大将が何かを告げる。すると、フォアナックス大将は挨拶するように頭を下げ、笑顔で『好きです』とたった一言だけ言い残し、地面に姿を消した。



 あまり状況を把握出来ないワーヤスは土帝国の王と側近の無茶な行動について悟る。

 「まったく何を考えるんだ、王も側近も・・・」



 土王なら彼の王を助けることは目的ではないはず。ワーヤス大将はもし彼が間違わなければ、土王は万が一の場合を計算したと思った。

 もしアルタイル風王の身に何があったら、すぐ助けられる。それで身を隠していたであろう。一方、さっきのフォアナックス大将はわざと彼に姿を見せたに違いない。


たった一言を残したいだけ・・・たとえ殺されるかもしれないと分かっても・・・



 しかし、さっきフォアナックスが立っている所に近付いたら、地面に一つの空いている紫色の杯が置いてある。ワーヤス大将はそれを手にし、あの夜の誓いを思い出す。


 <<「我が帝国のために」>> 杯を交わした時の言葉が頭の中で響く。


 これから彼らの出逢う場所は『城』ではなく『戦場』であるから。杯はその意味を表す。


『我が帝国の為なら、彼方を殺す!!』・・・それが二人の大将の決心である。



・・・・・・・・・


 運命の戦がやってきた。

 しかし、最初に前軍を支配するワーヤス大将とゲレル風帝国の大将は、直接に敵帝国の援軍を支配しているフォアナックス大将と戦わなかった。


相手は前軍を支配するフェガー炎帝国の大将であった。


それでも、対決までは時間の問題だけである。


 すると、長いと考えられた戦は二度目の悲劇で幕を閉じた。

 命の最後にアルタイル風王は、あの悲劇の朝の事実を明かした。『風王と土王が寝ていたのを見て、カリナ姫は自殺した』と。


 ワーヤス大将も他の人と同じように、思わぬ事実に驚いた。彼は、フォアナックス大将を身の近くに居させないなら、あの夜に風王と土王の間に何か起こったかもしれないと考えたが、カリナ姫はそれを目撃し、自殺したと思わなかった。



 結局、四帝国は臨時休戦となり、重傷を負ったレイサック水王を水帝国に連れ戻すワーヤス大将は、その場から去る前に、一瞬だけバーナッドの近くに立っているフォアナックス大将を見詰めた。


 ワーヤス大将の桔梗色の瞳は詫びを言っていない。そして、フォアナックス大将の藤色の瞳もそれを求めていない。

 互いに自分の帝国の『大将』としての任務を果たすから、これまでの行動は当たり前のことである。誰か悪いのではない。


 言葉で言わなくても、相手は自分の心を理解する。


 戦場から去る時に、二人の大将が擦れ違った。その短い時間に、ワーヤス大将はフォアナックス大将の呟きを聞こえた。


 「早く私を追い掛けて下さい。待っています」


 呟きを聞いたワーヤス大将から何の反応も無く、フォアナックス大将もそれを待っていなかった。それ以上、二人の大将は何も話さないまま、自分の帝国へ戻った。




ずっと互いの存在を意識していた・・・

相手がいるから、これまで頑張れた・・・

相手がいるからから、ここまで出来た・・・

『敵』であるけれど、同じ帝国に生まれたら、良い親友になるかもしれない・・・

けれど、これが『運命』という・・・



==1月28日更新==
==FATE[番外編]:二人の大将== 【完】

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