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FATE[番外編]:二人の大将【完】
†B二人の触れ合い6頁†
 ワーヤス大将は感覚で自分が運ばれ、横たわられ、更に、着ている服を全部脱がされた。抵抗する力もなかった。



 また、ベッドで横になったとしても、めまいはまだ治らない。相手が言う通り、彼は土帝国の酒を侮ったと水帝国の大将が思う。


 彼の鍛えた胸筋が冷たい指先でなぞられ、その感触は脳に伝わってくる。だが、ワーヤスが驚いたのは、男の指なのに、彼の身体は否定しなかった。むしろ、素直に反応している。
 

 水帝国の大将は、最初から時々出てきた同性愛の部下を見て、軍の仕事に影響がなければ、どうでも良いと考えた。ただ、自分が男に触られて、ちゃんと反応するのは想像すらなかった。


 女房が亡くなってから、この六千年以上の間、他の女性を抱く気持ちは無い。これ以上不幸な女を増やしたくないから。それで、それがきっかけで彼の身体は快感を求めているであろうとワーヤスが思う。


 しかし、相手は最悪すぎる。彼の最大の敵であるフォアナックス土帝国の大将。今、相手の目的は彼を抱くことなら、それ以前の理由はただ一つ。


 どうせこの状態では、もう逃げられないとワーヤスが判断し、相手を睨みながら、告げる。

 「おい!こんな歳になって、何をやっているんだ?俺を倒せないから、これしか出来ないか?がっかりしたぜ!」


 フォアナックスも自分の服を全部脱がした。裸になった逞しい身体は水帝国の上に跨り、藤色の瞳はワーヤス大将の瞳を睨み返した。

 「そうだ。こうしないと、あなたは絶対俺に向けてくれないから」とフォアナックスが肯定した。

 
 これまで最強な敵として、手腕を認めていた土帝国の大将はそう考えると知り、非常にがっかりした。ワーヤス大将の怒りは頂点を超え、相手に怒鳴った。

 「は!?戦場で勝てないから、ベッドで勝てたいわけ?ふざけんな!」


 酷く見下した言葉を聞いたフォアナックスもワーヤスに怒鳴り返す。

 「あなたのせいだ!あなたがいつも俺の一歩前に歩いている。いつまでもあなたは俺に向けてくれない。もう俺たちが大将になった今、これ以上上る場はもう無い!」

 フォアナックス大将の声の方が情に溢れ、震えている。その意味を理解していないワーヤス大将は問う。

 「お前いつも俺の記録を破ったんじゃないか!?これ以上何が欲しいんだ!?」

 「けど、いつも追い掛けるのは俺だ!あなたはいつもその前に立って前へ進む。いくら俺が記録を破ったとしても、それが足りない!この三百年も無い年の差で、ゲレル大将のように、立派な戦場の先輩にはなれない!」


 風帝国の大将の名が取り上げられた。それは風帝国が植民地になった日のことであった。確かに、フォアナックスが言った通り、ワーヤスはゲレル大将を尊敬している。


 案外な理由を聞き、水帝国の大将の怒りが少し収まった

追い掛けられると思っている間に・・・

いつの間にか自分が相手を残すことになった・・・

 けれど、いくら考えてもなぜ土帝国の大将は彼を超えるために、ここまでやってかまだ理解しかねる。

 「なぜそんなに俺にこだわる必要があるか?」とワーヤスはさっきより若干落ち着いた声で聞いた。頭に血が上ったおかげで、めまいが良くなり、相手の瞳がはっきり見えるようになった。


 すると、フォアナックスは事実を語った。本当の彼らの初対面を。

 「あなたが初めて俺と会った時は少佐の時だったと言った。それが違う。初めてあった時、俺はただの二等兵で、あなたは兵長だった!この命あなたに救われたんだ!」


 その言葉を聞き、ワーヤス大将は黙り込んだ。

 「・・・・」

 酒の力がいっぱい残っている頭で昔のことを必死に思い出した。

 兵長になったばかりの時、確かに一人の敵の兵を助けた。あの時の土帝国の兵は友達を戦場から脱出するために、自分の命を捨ても構わないから。彼が気に入った。


 はっきり思い出さないけれど、あの兵士の瞳は真っ直ぐで迷い等はなかった。それが印象的であった。



 一方、土帝国の大将は更に言い続ける。

 「必ずあの者のようになりたい!いつか必ずあの者に勝ちたい!だから、頑張った。恋愛等を考えずに、訓練だけ集中していた。お蔭で少佐になった時にまたあなたと出会った。けど、あなたは俺を覚えていない。更に、いくら追い掛けてもいつも結果は同じ。あなたは一度も俺の方に向いてくれなかった!」

 
 全てを言い出した後、フォアナックスの藤色の瞳から暖かい涙が、ワーヤス大将の顔に落ちてきた。

 二人の大将とも一万歳以上である。ワーヤス大将は相手の顔を見て、思う。

 (コイツ・・自分はもう何歳だと思うんだ?こうなると、俺に忘れられたがきっかけじゃないか?)


藤色の真っ直ぐな瞳・・・

 初めて見た瞬間にどこかで見たと思ったら、彼が助けた一人の二等兵であった。言い換えれば、彼は帝国にとって最大の敵を救ったともいえるとワーヤス大将が思う。

今も相変わらず、自分の意志で行動している瞳・・・

 
<<「特にその藤色の瞳は一度見たら忘れられないと思う」
  「いいえ。よく忘れられる」>>

 さっきの会話は頭に浮かんだ。相手が怒ったことはなんとなく納得してきたワーヤス大将は深い溜め息をし、告げる。


 「今晩だけ最後までお前の相手にしてやる。一度だけだ。お前を抱く」


==1月20日更新==0時40分訂正更新


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