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FATE[番外編]:風王の幼い頃【完】
†A約束の崩壊† 4頁
「ゼファー風王」バーナッドはその人影の名前を呼んだ。

その人影がゆっくりと二人に近づいた。風王の金色の髪が月の光に光った。

いつもバーナッドを暖かく歓迎してくれた風王が名前を呼ばれても何も答えていなかった。

ただじっとバーナッドを見詰めただけであった。


バーナッドも同じように何も話さなかった。紫の瞳が悔しく、悲しそうだった。

 二人の間に沈黙が広がった。

アルタイルは何も知らずに、ただバーナッドの腕の中で眠っている。


しばらく時間が経ち、ゼファー風王が沈黙を破った。

「ディバー…は…」ゼファー風王は土王の名を言い出した。

父上の名前を聞かれたバーナッドは、何も答えられなく、一所懸命涙を溢れないように我慢している。

何も答えられなかったバーナッドにゼファー風王はもう一つの質問を聞いた。

「バーリウスは?」今回出した名前はバーナッドより四千年年上の兄であった。
兄の名を聞き、バーナッドの体が少し震えた。

「明日に王冠の儀式が行われます」土帝国の王子が震えた声で答えた。

その答えを聞いた途端に、ゼファー風王の森色の目が怒りに燃えていた。

「あの父親殺しめー!そこまで王になりたいのか!!」怒りの余りに、いつもとても親切なゼファー風王は別人のようになった。

ゼファー風王とディバー土王は仲が良い友達であった。

ディバー土王は明るく好奇心が強い王で、今までの土王と性格が違ったため、ゼファー風王と気が合う友人になった。

  一番若い王と一番年上の王は意外と深い友情であった。

友人の死のお知らせを聞いた時にゼファー風王が信じたくもなかった。

「ディバーがいきなりおかしくなった…処分するべきって。あの父親殺しめーの嘘!信じられるもんか!」 土帝国へ行かなくても、バーリウスの計画がゼファー風王に読まれた。

その怒り声が大きかったため、眠っているアルタイルが目覚めた。


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あきゅろす。
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