FATE[番外編]:風王の幼い頃【完】
†A約束の崩壊† 1頁
「バス兄上…」
明るく小さな声で土帝国の王子を呼びながら、走り回った。
3歳ぐらいの金髪の男の子がバーナッドの足を掴んだ。
「久しぶりだな…元気か、アル?」優しい声で聞きながら300歳になったアルタイルの頭を撫でた。
「はい。でもバス兄上が最近あまり遊びに来なくて、ちょっと淋しい…」純粋なエメラルドの目が少し淋しそうになった。
そして、アルタイルはバーナッドの足をもっと強く掴んだ。相手をどこへも行かせないように一生懸命掴んでいる。
「ごめんね。土の魂を解放する儀式がいろいろで忙しかった。でもこれからは毎週遊びに来るよ」 バーナッドは二千歳になり、ようやく土の魂を解放する時期が来た。
一人っ子であるアルタイルにとって遊ぶ相手はバーナッドしかいない。今までの一年間風帝国の嫡子は毎日ずっと待っていた。
「約束して!もう一人は嫌だ」顔を上げて足を掴まれた相手をじっと見詰めた。
「約束する」バーナッドは小さな体を抱き上げた。
「約束ね」嬉しく微笑んだアルタイルはバーナッドの頬に近づき、軽くキスした。思わぬ行動にバーナッドが驚いた。
「母上がこうやると『約束』という意味だって」笑いながら説明した。
「さすが、ラナー様。で、もし約束を破ったら、どうする?」
「その時に兄上がずっと僕と一緒に居なければならない。もう土帝国に帰れないよ。ディバー叔父様に怒られる」アルタイル自分が勝ったように意地悪く笑った。
「それは困るな…」バーナッドが少し困るような顔をして、抱いているアルタイルの頬に軽くキスを返し、アルタイルの耳元に囁いた。
「約束完成」
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