FATE[番外編]:風王の幼い頃【完】
†B気持ちの奥† 3頁
大粒の涙が紫色の瞳から溢れ、寝させられたアルタイルの頬に落ちた。
そして、バーナッドが静かにゼファー風王の腕の中に泣いた。
「泣きなさい。バーナッド。今のうちに。これから君の道がもっと残酷になっても、今日流した涙を思い出して、強く立ちなさい」風王がバーナッドを抱きながら教えた。二人の間に本当の親子より絆が深い。
そして、風王が小さな声で呟いた。
「後二年が閏年か…」
その声が小さく、バーナッドが聞き取れなかった。
その時、もしバーナッドが聞こえたら、次のようなことが起こらないかもしれない。
その言葉がこれからのバーナッドとアルタイルの関係を大きく変わった。
結局、その夜バーナッドが土帝国に泊まり、約束通りアルタイルと一緒に寝た。アルタイルから頬にキスをもらい、風王と女風王に朝の挨拶し、素早く土帝国の王冠儀式に戻った。
これは彼にとって、最後の風帝国の泊まりであった。
チャナック水王も含め、ゼファー風王がバーリウスの土帝国の王冠儀式のお祝い挨拶を送らなかった。
つまり、「認めない」と同じ意味。
バーナッドの兄上であるバーリウスがその行動を恨んだが、土帝国内も色々な問題があり、戦争する暇はなかった。
とはいえ、風帝国と土帝国の関係が王冠儀式の日から悪化になった。
それで、バーナッドが皇太子として、正式に風帝国に訪問することが出来ない。しかし、バーナッドが内密に一週間に一度、短い時間でもアルタイルと会いたいと考えた。
アルタイルとの約束まで破りたくないと決心したからであった。
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