FATE[番外編]:風王の幼い頃【完】
†A約束の崩壊† 5頁
「父上…?」アルタイルは目をこすり、眠そうなエメラルド色の瞳がまだ完全に目覚めていないようだった。
「アルタイル。中に入りなさい。父上は兄上と話がある」風王は怒りを抑え、親切な声で話した。
しかし、アルタイルはバーナッドの薄い紫色のガウンを握った。小さな体はバーナッドの胸に顔を隠した。
その行動を見た風王はもう少し厳しい声で名前を呼んだ。
「ア・ル・タ・イ・ル」
父上の厳しい声を聞いた幼いアルタイルの体が震え、バーナッドのガウンをもっと強く握った。
「ゼファー風王、そのままいさせても構いません。わたくしは今夜ずっと一緒にいると約束したからです」
震えている体を安心させるために、バーナッドは強く小さな体を抱きしめてあげた。
「君がこの子を甘やかさせるよ」風王が少し厳しい声でバーナッドを叱った。
「父上、バス兄上を叱らないで下さい。僕が中に入ります!」アルタイルは慌てて、バーナッドの腕から降りようとしたが、強い力で抱きしめられた。
バーナッドは強く小さな体を抱きしめ、耳元で囁いた。
「大丈夫。ここにおいで」
幼いアルタイルがバーナッドに抱きしめられ、大きく暖かい腕の中には心を安心させられた。
「バス兄上」アルタイルはバーナッドの名前を呟いた。今日の兄上がいつもと違うと感じた幼いアルタイルはバーナッドを抱いた。
ゼファー風王は2人を見てため息をついた。
「仕方がないな」風王がアルタイルの頭を撫で、手から緑色の光が出た。
「父う…え…」緑の光を浴びた途端に、エメラルド瞳が閉じた。アルタイルが再び眠った。
「いくら大切にしたくても、ある程度ちゃんと厳しくしないと、将来に困るよ。君も実はアルに聞かれたくないだろう」
ゼファーがアルタイルを眠らせ、バーナッドに少し厳しく叱った。
「申し訳ございません。わたくしの甘さで、つい…」土帝国の王子が深くお辞儀をした。
「まぁ、いい。今日君もアルタイルが必要だろうと思ったから。一人にならない方がいい」さっきのゼファー風王の厳しい表情がいったん悲しそうに変わった。
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