FATE[番外編]:風王の幼い頃【完】
†@希望の誕生† 1頁
「ゼファー風王。嫡子がお生まれになったこと、心からお祝い申し上げます」
嬉しそうな声でしゃべったのは紫色の瞳を持っている少年。
「おや〜バーナッド、来てくれたの?」ゼファー風王と呼ばれた者は金髪と森の色の瞳を持っている紳士。人間ならば50歳ぐらいの中高年。彼は笑顔で、1700歳のバーナッドに挨拶した。
「ええ。お知らせを聞き次第、すぐ参りました。事前にご連絡しなくてお詫びを申し上げます」土帝国の嫡子は深くお辞儀をした。
「いやいや。堅苦しい言葉はやめてといつも言うのに。君も与の息子だよ」 ゼファー風王は暖かく少年を抱きしめた。
その暖かさは土帝国の嫡子に伝わってくる。
大四元素の四帝国は元素の魂を持っている王族によって支配されている。
王になる者は自分が持っている大元素の魂を解放し、巨大な力を得る。つまり、その力は王にとって「誇り」でもあり「証」でもある。
これまで風流殿はその力を持っている者はゼファー風王しか居なかった。
理由はこの万年以上風王の嫡子がひとりも生まれていなかったからだ。
側室を望まないゼファー風王はいくら貴族らにすすめられても、女風王意外誰も認めていなかった。その愛の強さは4王の中でも一番熱いだと言われている。
けれど、このままではいけない。
ゼファー風王は元風王の一人息子で、兄弟もいない。また、ゼファー風王と女風王の親戚も風の魂を持っている者は居なかった。
次代の風王は風の魂を持っていない者に決して渡せられない。
ずっと悩んでいた問題は、とうとう昨年の冬に解決出来た。女風王がようやく妊娠されたからであった。
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