FATE【BL】
第15話 4頁
過去を考え込んでいるバーナッドを取り戻されたのは、アルタイルからの質問であった。
「でも、なぜおまえはオレの部屋にいるわけ?兵士たちはおまえをオレの寝室に入らせないはずだ。
おまえはあくまでも『敵の王』だ」風王はこの異常な状態に気付いた。
子供の時なら、別にバーナッドがここにいても怪しいではないが、今は違う。
「私は直接に入りましたよ。そなたの廷臣を騒がせたくないからです。それに、力を無駄使いは好みではあるまい」
バーナッドは他帝国の王の寝室に侵入した罪とは別のことのように喋った。
「あ…まぁ…送ってくれてありがとう…でいいかな。どうぞ戻ってください」アルタイルは少し戸惑った。
相手は風帝国にとって最強の敵でも言えるのに、彼の寝室にいながら、何もないように喋っていた。自信過剰な人でも言えるかもしれない。
「私のことをご心配なく。『絶対に』帰るから。しかし、その前にそなたをちゃんと寝るのかを確認します」
バーンッドのことは少し傷つけられたような声で答えたが、顔はいつものままであった。
「今は寝る時間じゃない。オレはロスの見舞いに行く」アルタイルはすぐ拒否した。
「そなたはこのような身体でレイサックを見まいに行きます?」
「そう。オレよりロスの方が大変な状態だ。おまえも見たんだろう。バーナッド」
「しかし、そなたを行かせるのはいけぬ。他帝国で無謀な力使いの罪を犯しているそなたに罰するのは、私の役目です。そなたが外を出たりしたら、私は困ります」バーナッドは笑顔で話した。
「オレはこの風流殿にこもらない!ロスのところへ行く!」アルタイルはベッドから立ち上げようとした途端、バーナッドは彼の前に遮った。
「アルタイル風王 よく聴くと良い。『今日から凡そ1ヶ月そなたをこちらに監禁することになる』私、バーナッド土王は旧四帝国の規則により、命じる」冷たく怖い声で心まで響いた命令であった。
アルタイルはこの命令を従うしかないと分かっているが、風王にとって、最愛の人が自分の王位よりも大事であった。
「いいえ!オレが行くというなら、誰も止められない!おまえの命令を聴くもんか」
風王は素早く寝室の扉に向かった。しかし、いくら開けようとしても、扉は開けられない。アルタイルはベッドに座っているバーナッドの方に振り返った。
「オレの寝室の扉に何をした!」
「そなたが大人しく休んで、一ヶ月後に開けられます」冷静に答えたバーナッド
「オレはロスに会いに行く。バーナッド、おまえはオレの気持ちを知っているじゃないのか?」風王は土王に聞いた。
「ええ。存じます」バーナッドは切ない声で答えた。
「しかし、その前にそなたの身体を早く治らないと、誰も助けられぬ。ここにおいで。私の力も使ったらもっと早く治るはずです」土王が言いながらベッドの布団を叩いた。
「結構!オレは自分で治れる!それに帝国の医者も何人もいる」アルタイルが固く拒否した。
バーナッドの治療を受けられるなら、死んだ方がいいと彼が思っていた。
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