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FATE【BL】
第11話 3頁
 ラーカインは剣を止めることが間に合った。彼の剣はレイサックの胸から僅かな距離であった。


「なぜコイツを庇う、レイサック!?」ラーカインは怒り満ちた声で聞く。


「もうやめてくれ、ラーカイン。オレはアルと帰らない。この争いは何も意味もない。だから、やめてくれ」


 レイサックは初めてラーカインを頼るような行動をとった。水王はこのままアルタイルとラーカインを争わせたら、彼は親友を永遠に失うはずと考えた。



「ロス、僕は君をここに居させない。たとえ君はもう…」話している途中、再びアルタイルは血を吐いた。さっき知ったことが信じたくない事実で、アルタイルの声は悲しみと苦しみを含めた。


「アルはこんな無謀なことをやる人じゃないだろ。何のために慌てたんだ。明日には僕は君たちと帰るよ。こんな無謀なことをやる意味はない」


 レイサックはアルタイルを少し叱りながら風王の体を自分の体に凭れ掛けさせ、手当てをしようとしている。彼の行動は立っているラーカインを完全に無視し、ラーカインの怒りを招いた。


「下がれ!レイサック」怒りに燃える炎王は命じた。その声は聞いた誰もが、すぐ従うしかないと思うぐらい恐ろしい声であった。しかし、今のレイサックにとっては親友の命のほうが大事であった。


 「いやだ。お前もやりすぎだ。ここまでやらなくてもいいのに」顔も振り向かずに、答えた水王。彼の怪我を治す力はもうないけれど、自分が持っている赤布で簡単な手当をやり続けた。


 「さがれ、と言っている」ゆっくりかけられた声は、より恐ろしくなった。


 「いやだ」レイサックもまだ同じ意志で答えた。


 「レイサック!キサマは俺の捕虜で、俺の命令に逆らう権利はない!コイツから離れろ!」


 炎王は怒鳴り、力でレイサックを引き寄せると左手で抱きしめ、残る手で剣を持ち、アルタイルが寝ている場所に投げようとする。


しかし、レイサックはその行動を見、慌ててラーカインに話しかけた。

「ラーカイン、やめろ。オレは捕虜としてここにいるから、アルを許してくれ」

 「そんなにコイツが心配なのか」嫉妬が篭った声で聞くラーカイン。

 「うん。アルはオレにとって一番いい親友だ」レイサックは素直な気持ちで答えた。

 「しかし貴様は俺のモノだ」ラーカインの答えでレイサックを一瞬黙った。ラーカインは話し続けた。


 「そして、俺は誰にも奪わせない。貴様に教えてやる。逆らった捕虜の運命はどうなるかと」 炎のような瞳はレイサックを睨んだ。ラーカインはレイサックの身体に呪文をかけた。



 水王が動けなくなり、一方で水帝国の大将も炎帝国の兵士に捕まえられ、ラーカインはゆっくりとレイサックから離れ、怪我で動けないアルタイルに剣を向けた。



 炎王は炎の剣を引き上げ、アルタイルの首を狙った。

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