FATE【BL】
第46話 2頁
フェガー炎帝国の大将。今回の炎帝国の反乱と深く関わり、重大な裏切り者ともいえる。
王から一番信頼を受ける立場である大将は、王を裏切ることはほとんどない。
特に、フェガー大将は、ラーナス前炎王の大将ではなかった。神世界の歴史上で、初めてのことかもしれない。
遥かな昔、大将が裏切り、反乱を起こした例は幾つかあった。けれど、その大将らは前王の大将であったという。
それに、反乱が成功したのであろう、心配したのであろう、最後に裏切り者の大将は、必ず始末される。神の世界では、忠実を守れない者に尊敬する気持ちを挙げられない。
ならば、何故、今フェガー大将はここに?・・・
国賓室は重苦しい沈黙に包まれた。
水帝国側の貴族と兵士らは、百人以上もいるが、誰も話そうともしなかった。実は、誰もが発言したい。ただ、混乱のあまりに頭が動かない。
レイサック水王も部下とほぼ同じ状況であった。頭の中で、色々な問いが浮かんだ。
ラーカインは本当に無事なのか?怪我は?フェガー大将は何故ここにいる?ルースはどうなっている?何故誓いの宝石が砕けた?どこから始めれば良いかさえ、判断できない。
「さて、ラーク。説明してくれますか?恐らく、私もここにいる皆さんも、疑問が沢山浮かんでいるでしょう」沈黙を破ったのは、炎王の親友であるバーナッド土王であった。
バーナッドが全てのことを知っているとレイサックは思ったが、そうでもないらしい。
ラーカイン炎王は、つまらなさそうに深く溜め息を付いた。ルビー色の瞳は、レイサックの視線と合った。正しく言えば、ラーカインはレイサックを見詰めている。
最初に出逢った時の敵意の視線と違って、ただレイサックの姿をしげしげと見つめるだけであった。
「全部説明するのは面倒だ。知りたいことだけ聞け」
久しぶりに聞いたラーカインの声。相変わらず傲慢で自信に満ちた声であった。レイサックは、直ぐにあの逞しい腕の中に飛び込みたい。
生きている・・・
生きている・・・
そして、ここに会いに来た・・・・
<<『必ず会いに行く。この宝石はその誓いの証だ。俺を信じろ』>>
ラーカインの伝言が心の中で響く。レイサックの瞳から涙が出そうになる。
ラーカインは約束を守った。誓いを守ってくれた。嬉しすぎて、眩暈がする。
しかし、今倒れてはいけない。事実が知りたい。レイサックは深呼吸をし、問いかける。
「フェガー大将は、何故ここにいる?」
とう回しをやめて、水王は早速本題に入った。
==9月17日更新==
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