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FATE【BL】
第45話 6頁
バーナッド土王とアルタイル風王は国賓室にいる!


 整っていない報告を聞き、ワーヤス大将とレイサックは目を合わせた。すると、レイサックは何も言わずに、その場から姿が消えた。

 
 「王!お待ちくだ・・・」

 ワーヤス大将は、全部を話せる前に、レイサックはその場から去った。無論、国賓室に行くに決まっている。


 水竜殿の中では、場所によって力が抑制されている。王族の墓の周りもその一つである。水王であるレイサックはともかく、ワーヤス大将とその兵士は、この周りでは力が使えない。


 ここからある程度離れる場所なら、転移の力が使える。

 
 ワーヤスはすぐ走り出す。後ろに、兵士が追ってくる。走りながら報告のことが頭に浮かんだ。


<<「土帝国の大将と副大将が捕まった?土王は一緒にいた?」

「いいえ。土王はいらっしゃいませんでした」>>


 もし、炎王に何があれば、土王は動かない訳がないとワーヤスが思っている。手紙の内容は知らないが、報告から想像は付く。ならば、何故ここに土王と風王が?


謎だらけだ・・・・


 青い宝石で造られた水竜殿の国賓室に、レイサックの姿が王の椅子の前に現れた。ディープ・ブルー色の瞳が大きく開いた。


 国賓室には、報告通りに、アルタイル風王とバーナッド土王が立っている。それに、風王の隣に、小さな少年がいた。アルタイルと同じ金髪を持ち、違うのは、アルタイルより髪は背中までのびていると、瞳の色はエメラルドではなく、森色であった。


 「アディス!?」レイサックは、驚いた声でその少年の名前を呼んだ。なぜアディスがここに?


 アディス王子。アルタイルの一人弟、ゼファー前風王の二男。アルタイルの後に、次の風王になる者。


 また、王子の隣には、四帝国の大将の中で一番年上のゲレル風帝国の大将が立っている。それに、土王の隣にもフォアナックス土帝国の大将が付いている。


 その時に、転移力を使って、ワーヤス大将は国賓室に現れた。すぐに客を見やると、藤色の瞳と目が合って、ワーヤスの言葉が失った。


 「ロス兄上!血!」
 
 「ロス!血!君、怪我でもしたのか!?早く手当を!」

 何の挨拶をする前に、アルタイルとアディスは、血が付いているレイサックの服を見て、慌てた。
 
 さっきも一度ワーヤス大将を驚かせたのに、ラーカインの事で頭がいっぱいで、着替えることを忘れた。レイサックは自分の服を触れると、服がいつもの青色のガウンに変わった。
 

 「あ?小さな傷だ。もう治った。それよりラーカインのことは?」

 水王は、国賓室に貴族や兵士たちがたくさんいたことを構わずに、本題に入った。これ以上待つと、心の騒ぎを抑えきれないから。



 「それなら、本人に聞けば良いです」バーナッドは相変わらず冷静な声で告げた。


本人?・・・・

本人だと?・・・・


 レイサックの頭が混乱した。絶望と希望が混ざり、頭が痛くなってきた。


 すると、国賓室の真ん中に、見慣れた者が現れた。癖のある茶色の髪、そして、炎のようなルビー色の瞳。

 
 水王の唇が震えた。唇から手、足、全身に悦びと驚きが走った。目の前にラーカイン炎王がいる。夢ではない。叫びたくなる。今すぐに、その腕に飛び込みたい。


 しかし、視線はラーカインの後ろに移った。同時にもう一人が現れた。


 茜色の瞳と肩ぐらいの癖のある薄紅の髪を持つ、これまで『裏切り者』とされたフェガー炎帝国の大将である!!!!

 

==9月15日更新==
==第45話†心の覚悟†【完】==




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あきゅろす。
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