FATE【BL】
第41話 3頁
「アルに任せる?どういうことだ?」レイサックは問った。
アルタイルはその疑問に答える。
「僕は力が遣えないけど、他の手はある」
レイサックはアルタイルの答えを聞いても、『他の手』を思い浮かばない。だが、アルタイルの身に被害が無ければ、『大丈夫だ』と、二つ目の選択を選んだ。
答えを聞いたアルタイルの顔に笑みが浮かび、寝室の扉に向け、大声で部下の名を呼ぶ。
「ゲレル大将、中に入っても良い」
すると、大きな扉が開かれ、風帝国の大将が命令通りに寝室の中に入った。
四大将の中で一番年上の大将は、寝台に座っている風王と水王に向かって、深くお辞儀をした。
ゲレル大将はずっと寝室の前で待っていた。
「王、どうなさいますか?」ゲレル大将は俯きながら質問する。
「俺の代わりに炎帝国へ行ってほしい。土王と炎王の現状についての情報を全部集まってくると良い」アルタイルは側近に命じた。
しかし、ゲレル大将はこの風帝国に来る前に、前風王からも土王からも、アルタイルから離れるなと言われた。
風帝国の大将にとって、それは言われるまでもないこと。彼は決して主から離さない。
アルタイルが風土殿にいる時は、ゲレル大将が風帝国でアディス王子と一緒にいる。二人がアルタイルの代わりに、王の行事を果たすとゼファー前風王から命じられた。
裏には、風王が土王と一緒にいる時に、ゲレル大将はいない方が良い意味も隠れている。
「恐縮でございますが、私は王から離しかねます。王を守るのは今私の役割でございます」ゲレル大将は丁寧に断った。
「これは俺の命令だ」アルタイルは厳しい声で告げた。
「・・・」ゲレル大将は何も答えずに、黙り込んだ。今は反論するよりも、沈黙の方が良いと考えるからである。
風王は側近を見やり、深い溜め息をし、切り札を言い出す。
「行きたくなければ、行かなくても良い。バス本人から聞く」
(バス本人から!どうやって!?)レイサックは親友の言葉を聞き、疑問に思った。アルタイルは力が遣えない。
無論、バーナッドと連絡をとる手段は出来ないはずである。
すると、アルタイルは緑色のガウンの中から短剣を取り出し、自分の手首を切ろうとする。
==2月25日更新==
同窓会の為、短い更新ですみませんでした。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!