[携帯モード] [URL送信]

FATE【BL】
第40話 7頁
 額に暖かい口付けられ、弱くなってきたレイサックの心が動揺した。


 すると、水王は初めて親友に本音を語る。

 「アル・・・僕はいつも何も出来ない・・・・いつもだ・・・フェガーにラーカインのことを教えると命令したのも僕だ。ラーカインがこんな目に遭ったのも全て僕のせいだ。

 眼覚めたあの夜、ラーカインはいつものように僕を触らなかった。それは全治していないからと分かったのに、僕の力では彼を治せない・・・

 アル・・・もし今回のことでラーカインが亡くなってしまったら、どうしよう?もう二度と会えなかったら、どうしよう?」

 自分の情けなさに耐えられず、レイサックは泣きながら、素直に自分の気持ちをアルタイルに告げた。



王の言葉は水王の頭の中に繰り返す・・・


『来るな』と『大人しく休養しろ』と・・・


 レイサックは自分の力は未熟だと知っている。半分しか力が遣えない今の彼は炎帝国に行っても、相手の手足を引っ張ってしまうことも分かっている。


 それでも、少しでもラーカインの頼りになりたい。心から祈った。しかし、ラーカインは彼から決して求めない。


一度も・・・彼を『王』として認めたことがないからである・・・




 アルタイルは腕の中で震えているレイサックの背中を慰めるように背中を撫でる。


 レイサックが色々な言葉を言ったけれど、風王の中には『僕を触らなかった』という言葉が心の底まで響く。


 知らなかったことではない。かつて最愛の人が炎王に恋をしていること。けれど、その言葉を本人から聞いただけで、心が安らかになった。


多少痛みを感じるけれど、もっと痛かったと思ったのに、絶対に自分が認めないと思ったのに・・・


風王は自分の中で、新たな気持ちが生まれたと感じた。彼は泣いているレイサックの背中を撫でながら、問う。



 「ロス、ラーカインのこと好きか?」


 レイサックは顔を上げて、アルタイルの顔を見詰める。エメラルドの瞳の眼差しはとても優しい。



 それを見た水王は頷き、言う。


 「うん。好きだ。ラーカインも僕が好きと言った。けど、僕は重荷しかなれない。バーナッドのように頼もしくもない」レイサックは自分を責め続ける。



 「重荷・・・ね。それなら、僕の方がロスより何倍も重荷だ。力が遣えない『王』だからさ」アルタイルは自分のことを言うと、形の良い顔が少し悲しくなった。



 レイサックは自分の言葉が親友を傷付けてしまったと気付き、すぐ詫びをした。



 「アル、僕はそういう意味で・・・・・」



 慌てて詫びを言うレイサックに、アルタイルは相手の肩をポンポンと叩き、告げる。


 「いや。詫びを言わないで。僕、今幸せだ。ロスとまた会えて、それに・・・」


アルタイルは途中で言葉を止まり、優しく微笑み、レイサックに告げる。



 「ロスに『僕は今でも君を愛している、心からだ』という言葉も伝えられるになるから」



==2月15日更新==


[*前へ][次へ#]

8/95ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!