FATE【BL】
第40話 6頁
ラーカインからの伝言を聞いたレイサックは俯き、黙り込んだ。
また、炎王らしい言葉であるから、アルタイルが彼を止めるために作った言葉ではないとレイサックが判断した。
土王は炎帝国にいる。バーナッドならきっとラーカインの力になれるとレイサックが思う。
水王は顔を上げた。顔の表情は怒っていることもなく、がっかりしていることもなく、落ち着いている。
「アルはいつラーカインと会った?」レイサックはいつもと変わらない声で親友に質問した。
アルタイルは水王の想定外の行動を見て、より心配になった。最初にレイサックが怒ったり、落ち込んだりことを想像していたから。
むしろ、今のような反応の方が怖い・・・
「僕は会っていなかった。これはバスから預かった伝言だ」アルタイルは正直に答えた。
「そっか・・・」レイサックは言いながら、視線は窓の外へと移った。
いつものレイサックならば、もっと暴れるはずとアルタイルは思った。ラーカインの伝言の中にきっと彼が推測出来ない『何か』あるに違いない。
彼が知らない所で二王の間に何があったであろうとアルタイルは心配そうに親友を見詰める。
すると、レイサックは風王と水帝国の大将に向けないまま、告げる。
「ワーヤス大将、姫の葬儀の日までの間、俺の前から消えろ。今からだ」厳しく真剣な水王の命令である。
ワーヤス大将の今回の罪は重い。本来ならば、大将から外されてもおかしくない。ただ、全ては彼の為とレイサックが分かっている。
それに、水王にとって、今これ以上ワーヤス大将の顔を見れば見るほど、必要以上に全ての怒りや悲しみを側近に与えてしまう。
「ロス・・・」アルタイルは親友を止めようとした。
が、隣に立っているワーヤス大将に『大丈夫です。王のことよろしくお願い致します』という合図が送ってきた。
風王はそれを見て、ワーヤス大将に罰を与えないでと親友に説得することをやめた。
ワーヤス大将は深く頭を下げ、言う。
「御意。それでは、失礼致します」
レイサックからは何も答えず、顔も側近に合わせなかった。ワーヤス大将はそのまま寝室から去った。
アルタイルは水帝国の大将を見送ったら、風王は外を眺めているレイサックに近付き、話しかけようとする。
その時に風王が気付いた。ディープ・ブルーの美しい瞳から、小さな涙が次々と落ちている。
「ロス!」アルタイルは非常に驚き、思わず親友を抱き締める。
親友に抱き締められ、暖かさが身体に伝わると、出ている涙はますます止められなくなり、レイサックはアルタイルの腕の中で泣き出した。
これが・・・まるで・・・
子供の時のレイサックのように・・・
いつであろう・・・
レイサックは彼の腕の中で大泣きしたのは・・・
大昔であった・・・・
とアルタイルが思い、泣いている水王の額に軽く口付ける。
==02月13日更新==
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