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FATE【BL】
第40話 5頁
 フェガー炎帝国の大将が裏切られた。

 その事実を知ったレイサック水王は言葉を失った。

 ラーカインが倒れたことは炎帝国の誰にも報告しなかった。反逆者のことを心配していたから。

 
 にしても、自力でラーカインを看病したレイサックはワーヤス大将を頼み、フェガー大将だけに事実を伝えた。


一番信頼できる者と思っていたから・・・


 この情報が事実のであれば、ラーカインをこんな目に遭わせたのは、誰でもなく、『彼』である。


  「嘘だろう!!?大将が裏切ることなんてあり得ない話だ!!」レイサックは驚き、大声で風王と水帝国の大将に告げた。

 
 ラーカイン風王は冷静に親友を答える。

 「だが、これは事実だ」

 「反乱はいつから?」それについて何も知らなかったレイサックは詳細な情報を求めた。アルタイルは一瞬ワーヤスの顔を見やり、レイサックに本当のことを教える。

 「本格的な反乱は十日前から始まったんだ」


 (十日前・・・)レイサックは記憶を辿った。すると、その日はラーカインが水帝国から帰ったと分かった。

 
 美しい顔の表情が厳しくなり、レイサックは怒りに満ちた視線をワーヤスに向け、問いかける。

 「ワーヤス大将、これについていつ知ったか?」


 レイサックの質問で寝室の空気が重くなってきた。けれど、いつかこういう状況が起こるとワーヤスは心構えをしていた。水帝国の大将は自分の主に事実を告げる。

 
 「炎帝国に忍び込んだ少佐からの報告を受けたのは、炎王がお目覚めになった夜でした」


 ワーヤス大将の答えは火に油を注ぐと同じものであった。


 以前から情報を知っていたにもかかわらず、彼を黙って、ずっと秘密にしていたこと。それに、あの夜に報告してもらえば、ラーカインはこんな目に遭わないかもしれない。


 そう考えると、レイサックは怒り心頭に発し、側近に怒鳴る。

 「なぜ俺に報告しなかった!!?もしかしてこれまで俺の部屋に閉じ込まれたことも、この理由か!!?」

 「もし、私が報告したら王はどうされますか?」ワーヤス大将はすぐ聞き返した。


 激怒しているレイサックは、ワーヤス大将の質問の中に隠れている意味を考えずに、そのままの自分の気持ちを言い出す。

 「ラーカインは俺のせいで倒れた。今完全に治療しないのに、助けに行くに決まっているんだろう!!今からでもまだ遅くない。俺が炎帝国へ行く!」



 その答えを聞いた風王と水帝国の大将は、同時に溜め息を付いた。レイサックの行動はワーヤス大将が心配した通りである。

 その心配をきっかけとして、ワーヤス大将はアルタイルを早めに水帝国に招いた。彼は自分だけでは水王を止められないと分かっているからである。

 

 ワーヤス大将は、自分の答えが間違っていないと思っているレイサックに質問した。

 「王・・・王はどちらの帝国の王でしょうか?」

 「俺は水帝国の王だ!だから・・・」

 最初にレイサックは怒った気持ちで答えたが、その後、自分で気付いた。自分の『立場』を。

 それで、『だから』の後には言葉が喉に詰まった。


 代わりにワーヤス大将はもう一つの質問を突っ込んだ。

 「ならば、御みずからこの助けをどのように水帝国の民に答えられるでしょうか?」


 炎王が倒れた時と今同じことが繰り返している。前回、水王は炎王に止めを刺せなかった。けれど、今回は違う。


 この問題はあくまでも炎帝国の帝国内の問題であり、他の帝国が手を出せることは出来ない。だが、今バーナッド土王はそのことを無視し、ラーカインを助けに行った。同盟帝国の王として親友としては考えられないことではない。


 しかし、水帝国の炎帝国の植民地。また、意志で植民地になるわけでもない。今の反乱を遣い、炎帝国を攻撃するか、独立宣言をした方が常識である。


 頭で分かったとしても、心はその行動を許せない。レイサックは切り札を言い出す。

 「我々は今炎帝国の植民地だ。助けに行く義務がある」


 以前の風帝国と土帝国のように、有志で植民地になるならば、考えられるが、今の水帝国はどう考えても立場が違いすぎる。

 「いいえ。今だからこそ、独立する為の貴重な機会のでございます!血を流さずに済ませる時でございます!」

 今度、厳しい声で告げたのは水帝国の大将であった。


 「お・・俺は・・・」

 自分が言ったことは不合理なことだと分かっても、レイサックはどうしてもラーカイン炎王を助けに行きたい。



 すると、ずっと黙り込んだアルタイル風王は、優しい顔でレイサックに言う。

 「ロス、僕は君にバスとラーカインの伝言を届けなければならない」


 レイサックは親友の思わぬ言葉に驚いた。

知らなかった・・・

ラーカインとバーナッドからの伝言・・・


 なぜ今までアルタイルは何も言わなかったかと不思議に思った。


 風王は土王の言葉から伝え始める。


 「まず、バーナッドからは『そなたは来なくても良いです。私に任せて下さい』と。そして、ラーカインからは・・・」


 アルタイルはラーカインの言葉を言った方が良いかどうか、躊躇った。

 けれど、今のレイサックはラーカインの『その言葉』が必要だと考え、結局、レイサックに伝える。

 「『お前は来んな。大人しく休養しろ!今のお前は俺の手足を引っ張ってしまう』と」


==2月11日更新==

お待たせしまた〜お蔭さまで、投稿論文ギリギリで出しました(涙)

月神紫苑

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