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FATE【BL】
第40話 4頁
 レイサックの鼓動が走り、扉の方向に振り向いた。今この神世界で彼をあだ名で呼ぶ者は二人しかいない。



 水王はその人物の顔を見たら、相手のあだ名を呼ぶ。


 「ら・・あ・・アル!!」そこで立っている者は心の中で期待した人物と異なった。



 彼を『ロス』と呼ぶ者は、ラーカイン炎王とアルタイル風王である。


 
 アルタイルは最初にレイサックは誰の名前を呼ぼうとしたが、分かっている。だが、風王はそれについて話さないことにした。

 

 「アル。どうしてここに?バーナッドと一緒に来たか?」レイサックは親友に問いながら、風王が立っている所へ近付いた。



 今アルタイル風王は力が遣えない為、他の帝国への移動は誰かに連れて行かれるしかない。レイサックはこの間に風土殿で土王と風王と会った時から、親友はバーナッドと一緒に来たに違いないと思った。


 更に、アルタイルの身体の周りからはバーナッドの力が風王を守っているように囲まれている。


 力が遣えない風王は、土王の力を感じないが、レイサックそれを見ると、少し腹が立った。


 水王はバーナッドが寝室の外で待っていると推測した。彼と会うのになぜアルタイルの周りに守る力を張る必要があるかと。



 一方、アルタイルは左右に頭を振り、答える。


 「ううん。今日僕はゲレル大将と一緒に来た。ワーヤス大将に招待されたから、式の日より早く来たんだ」

 
 案外な答えでレイサックは聞き返した。


 「へ?大将が?」


 水王はその招待について何も知らなかったから。その時に、招待を送ったワーヤス大将は寝室の扉の外から中に入ってきた。



 「勝手な行動をしてお詫びを申し上げます。会場や部屋の準備も済みましたので、私はアルタイル様を予定通り早く招待しました」とワーヤス大将は深く頭を下げながら、告げた。


 
 レイサックは多少驚いたが、それほどでも無かった。むしろ、別の期待が高まってきた。


 「で、他の王は?」と水王は側近に聞く。


 言わなくても、レイサックが一番知りたい『他の王』とは、ラーカイン炎王のことである。


 アルタイル風王もそれを分かっている。だが、わざと土王のことを答えた。


 「『バス』は今炎帝国にいる」アルタイルが初めてレイサックの前にバーナッドをあだ名で呼んだ。

 
 聞き慣れない親友の土王の呼び方。二人の関係はどれほど深めているかレイサックはかなり気になった。


 だが、レイサックにとって今そのことよりも、バーナッドがラーカインの帝国にいる情報の方が大切。
 

 「炎帝国?なんで?」レイサックはアルタイルに聞く。



 すると、風王の顔色が一変白くなり、隣に立っているワーヤス大将を早口で小さな声で質問する。


 「まだ言っていないのか?」



 水帝国の大将も同じような言い方で呟く。


 「申し訳ございません。アルタイル様がいらっしゃるまでに、申し上げないと決めました」


 
 距離はそんなにない為、レイサックは二人の話を少し聞こえた。どんな話が分からないが、二人は彼に隠していることがあるに違いない。


 「二人で今何を話していた?」若干怒りが入っている声で、親友と側近に問いかけたレイサック。

 
 アルタイル風王は深い溜め息をし、エメラルドの瞳はかつて世界で一番愛しい者を見詰める

 「ロス・・・」


 風王は今の炎帝国の状況を説明した。炎帝国の反乱、反逆者はラーカインの従弟、フェガー大将の裏切り、ラーカインが東の城へ逃げ出し、そして、今バーナッドが兵を連れて行き、戦っている。


 だが、土帝国と炎帝国の兵士、どちらも戦争から終わったばかりで、疲れている。


 また、フェガーの裏切りで炎帝国の兵も大混乱になっている。更に、ラーカインの従弟ルースは、鳳凰殿に入れたから、彼は既に炎の魂を開放した。



 それで、二人の争いは一層激しくなった。ラーカインは全ての力が遣えないのに対し、ルースは今解放したばかりの炎の力に満たされている。



==2月8日更新==

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あきゅろす。
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