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FATE【BL】
第8話†捕虜の王†
 活動している火山が見える。噴火口の周りに出ている蒸気は「炎帝国」の暑さを守っている。

炎帝国は噴火口の真中に浮かんでいる。


この暑さは炎帝国の市民以外は、誰も近寄りなりたくないと思っている。だが、炎帝国の市民にとって、この帝国は「故郷」と「みやこ」で、自分たちの王であるラーカインも優れ、幸せに住んでいる。


炎帝国の中央には巨大な「鳳凰殿」がある。青色の水竜殿と正反対で、血と同じ色の炎色である。


城の外では兵士が厳重に警備し、国賓室では貴族たちが自分たちの仕事をやっている。

この様子が炎帝国の日常そのものである。


けれど、鳳凰殿の一番奥にあるラーカイン炎王の寝室に、新たな水王が眠っていることを誰も気付かなかった


ベッドの上のレイサックは、まだ目が覚めない。空色の髪の毛はいつもと変わらず長く柔らかそうだが、顔色は真白で、ゆっくりとした辛そうな呼吸だけが彼の命の証拠である。


と・・・レイサックの瞼が少し震えて、目が覚めた。


「ここはどこだ?」見た事のない風景を見たレイサックの初めての問いは、自分に対するものだった。


「この部屋の飾りものは全て赤色で、今まで見たことがないな…」横になったままで自分に話しかけた。


彼はもう一度自分の記憶を思い出そうとしたが、頭が重く何も思い出せない。


「まずベッドから降りよう」と思い、ベッドから起き上がろうとした瞬間、


「痛いっ!」腹に受けた傷はまだ治っていない。レイサックはもう一度ベッドに横になった。

その時、力が強い声が聞こえた。


それはレイサックにとって、一番憎んでいる人。ラーカイン炎王である。



「目が覚めたか、チビ王?貴様は、弱すぎる。これぐらいの傷で3日間も寝るなんてな」ラーカインはレイサックを軽蔑した。


「ラーカイン!!なぜ貴様がここにいる?」驚いたせいで、レイサックの声は大きくなった。


「は?そんな程度の傷で貴様は記憶を失ったわけではないだろう?もう一回思い出させてやる。貴様は『俺』に負けて、今『貴様』は俺の『奴隷』だ」ラーカインは満足しそうに答えた。


レイサックの記憶がだんだんと浮かんできた。最後に彼が見た風景は、体中血だらけのラーカインで、その血は「自分の血」であった。


「もう思い出したようだな。これから貴様は『一生』俺の奴隷だ。俺は貴様に教えてやる。この世界には死んだほうが幸せということが有ることをな、捕虜の王。はははは」

ラーカインの笑い声は寝室内に響いた。


「捕虜王とか、チビ王とかそういう言葉を止めろ!オレは貴様の奴隷じゃない!」


「ほう、俺にとって、貴様は捕虜と奴隷とチビ王以外ではない!良いことを教えてやる。貴様は馬鹿だった、約束をするときに期限を言わないと、それは一生のものになる。つまり、貴様は俺の一生の奴隷なんだ。ははは」

 ラーカインはレイサックを見詰め、大きい声で笑った。

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あきゅろす。
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