FATE【BL】
第6話†敗者の賞い†
「あぁぁ!!」レイサックのうめき声は今どれほどの痛みを感じているのかを伝えた。
美しい顔は痛みを表している。
「おやおや、チビ王。まだ始まったばかりだよ!このぐらいでそんなに叫んだら、次はどうする?」
ラーカインはレイサックの耳の近くで侮辱の言葉を囁いた。
次の瞬間、新水王は自分の身体が、ラーカインの手から投げ出され、無防備なレイサックの身体は神殿の床に激しく叩きつけられた!
レイサックは血を吐き、さっきの襲撃で彼はすぐに神殿の床から起き上がれない。
炎王はこの機会を逃がさない。
ガン!!!
ラーカインの赤い瞳から炎の線が出た。その狙いは今神殿の床に横たわるレイサックの身体である。
レイサックは運よく襲撃から逃れ、さっき彼が寝ていた神殿の床は粉々に壊れた。
しかし、ラーカインはレイサックの行動を推測していた為、水王が逃げた方向に『わな』を仕掛けていた。
ガン!!!
床から赤い炎がいくつか出てきた。全て剣のような鋭利な炎である。
レイサックの運はまだ良かった。彼が「水のバリアー」を作り、ラーカインの罠から自分を防御した。
だが、その剣のような炎はいくつかバリアーを通り抜け、彼の両腕を掠めたため、水王の両腕から血が流れている。
深い海色の瞳は凄く疲れているように見える。
「ふふ…悪くはない。これで俺ももっと楽しくなる。そっか…貴様…アルタイルから必死に習ったそうだな、結果を俺に見せてみろ」ラーカインはレイサックの姿を観察しながら、微笑んでいる。
しかし、耐えられないのは競争を見ているアルタイル風王である。
アルタイルは初めてレイサックのうめき声を聞き、ルールを忘れ、神殿の中央に入ろうとしたが、バーナッドに遮られた。土王は風王の手首をしっかり捕まった。
「よせ!バーナッド!見たんだろう?レイサックは絶対にラーカインに勝てない」
アルタイルは叫びながらバーナッドの手を振り切ろうとしたが、いくら力を使っても、バーナッドの手は離れない。
「無茶なことをおやめなさい、アルタイル。今誰もレイサックを助けられませぬ。私はラークをよく存じます。今の状態ならば、『血の流れを満足するまで』誰も彼を止めることはできぬ。今、中に侵入すれば、『そなた』まで怪我させられる」
土王はいつもと変わりなく冷静に説明したが、その黒い瞳は優しくて切なくアルタイルを見詰めた。
「それでもいい、離せ!!」アルタイルはその視線に見えなく、彼の前にはレイサックのことしかない。
「そなたが望むなら、まず私に勝たないと行かせぬ。しかし、私の手すら、まだ振り切れていないでしょう?」
バーナッドは少しニコニコした。確かにバーナッドの手は強くアルタイルを捕まえている。
「う…」アルタイルは絶望的な声をあげた。彼は自分が絶対にバーナッドには勝てないと理解し、もし頑固で力を使って逃げられるとしても、レイサックを助けられる力は残らないであろう。
「分かった。もう離して。バーナッド」風王は土王に呟いた。
「いいえ。もし今そなたを離して中に走られたら、私は困ります」
バーナッドはアルタイルの手をもっと強く握り、少し嬉しそうな顔をした。
「私はそんなことはしない!私は王だ、忠実の大切さは存じている!おまえたちと一緒にするな」
アルタイルの声に少し怒りが混じっていると気づき、バーナッドはすぐ手を離した。
土王はあまり相手を怒らせたくない。
「分かりました。そなたを信じます」バーナッドは短く答えた。
そして、アルタイルとバーナッドは水王と炎王の競争を見続けた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!